人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

2022-01-01から1年間の記事一覧

冬の庭は寂しいけれど  それとベテラン小学生の件

落葉樹はとうとう全部葉を落とし、一面を覆っていたリッピアも茶色になって、ちょっと寂しい冬の庭になりました。 それでも葉が生い茂っていた頃と違い、明るい庭になるので好きな季節ではあります。 私のバイブル、カレル・チャペック先生の「園芸家12か月…

ルイスポールセン トルボーとラウンドテーブル   光の求心力

ダイニングに使う照明はルイスポールセン一択。 最初にこのトルボーありきで、これにあうテーブルを探しました。 テーブルもまた、ラウンドテーブル一択。 ラウンドテーブルはインテリアのレイアウト上、なかなか難しいのですが、トルボーと組み合わせた時の…

インド・ネパールでブッダの生涯をたどる  カピラヴァストゥで目から水が流れた件

以前、自己紹介でも少し書きましたが、私は(お金をとる)放送局を退職してから、インド・ネパールの旅に出ました。 29歳の時です。 インド・ネパールと国境をまたいで移動したのは、ブッダの生誕の地ルンビニ(ネパール)から入滅の地クシナガラ(インド)…

春の野 若菜 雪   透明度の高い清新な一首

百人一首に歌人として登場する天皇の中で、誰より親しみを感じるのは光孝天皇。 9歳で即位した先帝の陽成天皇と比べると、はるかに遅い55歳での即位です。 それだけ親王時代が長かったということですが、大変質素な暮らしをしていたようで、自炊をしていたと…

「クリスマスを知らない」ムーミン一家がおこす、優しく静かな奇跡   「もみの木」

短編集「ムーミン谷の仲間たち」に収録されている9編はいずれも名作なのですが、最終話の「もみの木」は、まさに珠玉の短編といえる美しい物語です。 ムーミン一家は冬眠するので、クリスマスを知りません。 「もみの木」は、冬眠中に起こされてしまったムー…

格子戸でファサードを着替える

小柳ルミ子さんがメッシについて熱く語っています。 おかげでワールドカップ以降、時々頭の中で「わたしの城下町」がかかります。 それで、格子戸の件なのですが(笑)。 夏の暑い夜は窓を開けて寝たいのですが(クーラーを設置しなかったのです・・・)、平…

今年から「ノーサンタ」だけど・・・  Yes, Virginia, there is a Santa Claus 

親子3人で協議の結果、全員一致で今年から「ノーサンタ」ということになりました(笑)。 「欲しいもの・必要なもの」を「欲しい時・必要な時」に買うという附帯決議付きです。 娘にとっては遅まきながらの「幼年期の終わり」であり、私にとってぱ期間限定で…

クリスマスの行燈

11月28日くらいだと思っていたら、12月21日でびっくりしました。 夜、出歩いてみると、ご近所ではお庭のイルミネーションが輝いています。ひと頃よりは、少し減りましたでしょうか。 我が家はお洒落の質ではないので、そういった装飾には踏み切れませんが、…

家を持参して土地を探す

東京に住んでいる頃、土地探しをスタートしました。 長野・山梨あたりから関東・東北・北海道と、日本の東半分、100か所近くの土地を長い時間をかけて見て回りましたが、紆余曲折あって(ここが長いのですが・・・)、結局、私の地元に土地を求めて家を建て…

aladdin ブルーフレームヒーター  スタンダードであることの価値 

平屋の約24坪、ほぼワンルームで天井の無い化粧屋根裏。小さな家ですが容積はそこそこある我が家の、唯一の暖房器具です。 実はこれ一台ではなかなか厳しいのですが・・・、わりと温暖な地であることと、「気の持ちよう」でなんとか過ごしています(笑)。 …

離れても、またいつの日か逢いましょう   崇徳院の祈り

不義の子として生まれ、父である鳥羽天皇に忌み嫌われ、政治の中枢から追いやられた挙句、保元の乱に敗れ流罪に。 亡くなったあとでさえも、都でおきる飢饉や大火を「崇徳院の祟り」だという噂を立てられるなど、崇徳院は数奇な運命に翻弄された悲劇の帝です…

文系の建築士   点と点を後からつなぎ合わせること

プロフィール欄や文中にいつも、「文系の建築士」と書いています。(ちなみに「建築家」は「偉い人」のことだと思っているので、私は「建築士」です・・・)。 苦労はしましたが、一級建築士は取得していて、もちろん仕事上必要な「理系」の知識や経験はある…

「マチネの終わりに」を読んでガヴォット・ショーロ愛が復活

平野啓一郎さんの「マチネの終わりに」は、美しい恋愛小説であるのと同時に、私にとっては一級の「ギターの物語」でもあります。 ギタリスト蒔野さんの運指の滑らかさ、音の一粒一粒が活字の間から伝わってきます。 序から最終章までサントラのようにギター…

造り付け派から置き家具派へ ( BLC 収納ボックス / margherita)

その空間にあった収納をビシッとデザインして、きちっと図面に落とし込んで、竣工時にはそれが建築の構成要素の一つになっていること。 そんな「固いこと」をずっと考えていました。 自宅の設計時にもそのように考え図面を描いていたのですが、ある時点から…

もうすっかり冬ですが、美しい秋の名歌を

月見れば千々に物こそ悲しけれわが身ひとつの秋にはあらねど 大江千里 百人一首の中で私が最も美しいと感じるうたです。 板野博行さんの「眠れないほどおもしろい百人一首」(三笠書房)という本によりますと、白楽天のこの詩を翻案したものと言われているよ…

いにしへの歌詠みと相合傘を

小さな頃からギタリストか作曲家になりたいようでした。 特に作曲家(といってもポップスのですが)の方は、才能も環境もまるで恵まれていないうえ特段の努力もしないのに、憧れだけは強く、国内だったら筒美京平さん、林哲司さん、海外だったらキャロル・キ…

家のなかにアトリエ的なスペースを

時々、家づくりの相談を受けることがあります。それが本業なので、「時々」ではいけないのですが・・・。 いつも、家のどこかに、作業スペースといいますか、アトリエ的なスペースがあったらいいですよね、というお話をしています。 昔ながらの「お父さんの…

ウッドデッキ・縁側と洗濯物と猫

我が家は24坪ほどの小さな家です。 平屋なので建坪でみるとそれほど小さいとは言えませんが、生活スペースとしてはかなりコンパクトな方だと思います。 その小さな面積の割には大きめのウッドデッキ・縁側をつくりました。 この図面ではわかりにくいのですが…

緑に屋根を浮かべる

緑の中に一枚の屋根が浮かんでいるようなイメージで設計を進めていました。 まったくの更地に建てたので、竣工直後は模型をただ置いたようで違和感しかありませんでしたが、そろそろ何とか当初の目論見に近づいてきたような気がします。 建築雑誌などに載っ…

はじめまして。

自分で設計した家を建ててから8年ほどがすぎました。その家も、何となく良い感じで風化してきたので、建てて日の浅い頃とはまた違う、日々感じたことなどをメモしていこうと思います。 私は文学部を卒業したのですが、思うところあって学校に入り直し、ちょ…