人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

壬生 忠岑と桑田佳祐  1000年の憂い

百人一首 第30番歌


有明

つれなく見えし

別れより

暁ばかり

憂きものはなし

     壬生 忠岑  古今和歌集

 

壬生 忠岑(みぶのただみね)。

平安時代前期の歌人で、三十六歌仙の一人。

 

逢瀬の翌朝、いわゆる「後朝(きぬぎぬ)の別れ」の切なさを詠んだうたで、藤原定家古今和歌集のなかでのフェイヴァリットに挙げていたそうです。

 

このうたから感じる情感って何かに似てるなと思い、いろんな小説とか映画とか考えてたんですが、思い出したのはサザンの名曲でした。

 

夜明けの街で

すれ違うのは

月の残骸と

昨日の僕さ

     

サザンオールスターズ 「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」(詩/曲  桑田佳祐) 

 

名曲、「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」の冒頭の部分です。

 

1000年の時間を隔てても変わらない憂い。

 

逢瀬の翌朝、いそいそと彼女のところに向かう昨日の自分と、憂鬱な夜明けの自分がすれ違い、それを月の残骸(かけら)が見ている・・・。

違う解釈もあるのかもしれませんが、自分にはそんな風に感じます。

 

時空を超えた描写と、ちょっと情けなくてかっこ悪い男の愛らしさが、この歌詞を忘れがたいものにしています。

桑田さんは天才だなとあらためて思います。

 

壬生 忠岑や藤原定家とは同時代人になれなかったけれど、桑田佳祐さんと同じ時代に生きられて本当に良かったと思います。

 

壬生 忠岑のうたにあわせて音をつくったのですが、なんだか恥ずかしくなってしまいました・・・。

それでも、せっかくつくったので(笑)。

フィリーソウルっぽい感じになりました。

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