引き戸 鴨居と敷居との溝にはめ込み、左右に引いて開けたてする戸。
やり戸。
やり戸 引き戸。
ひと頃、玄関を引き戸で設計したら、「サザエさんのうちみたいで嫌だ」って子供が泣いたという話をよく聞いたんですが、本当でしょうか。
確かに、昭和の香りはありますね。
半分開けておくみたいなことが自在にできて便利だと思うんですが・・・、これはデザイン次第ですね。
2000年、世界遺産に登録された「シュレーダー邸」(1924年 竣工)という、オランダのユトレヒトに現存する住宅があります。
設計者は、G.T.リートフェルト(1888~1964)。
デザインやインテリアに興味をお持ちの方は、レッド&ブルーチェアのデザイナーといった方が伝わるかもしれません。
レッド&ブルーチェア
バルサでつくった1/10の模型です。買うと高いので(笑)。
オランダの近代デザインムーブメント、「デ・ステイル」の流れの中にあるデザインで、モンドリアンの絵画を椅子に翻案したものが、レッド&ブルーチェアで、
その住宅版が「シュレーダー邸」と言っていいかと思います。
「シュレーダー邸」には「引き戸・sliding wall」(可動間仕切り)が多用されています。
その名の通りで、壁がスライドする感覚です。
必要に応じて「壁を消す」ことで、その都度全くイメージの異なる室内空間が出現します。
この写真では少しわかりにくいかもしれませんが、2階中央にあるsliding wallを出したり、引っ込めたりすることで、個室群にしたり、大きな一室空間にしたりと、自在に変化させることが可能です。
日本の建築では、馴染みのある、伝統的な空間操作の方法ですね。
リートフェルトは日本建築にも影響を受けていたようで、「シュレーダー邸」は日本の農家のスタンダードなプランである「田の字」型平面の要素を持っています。
それで・・・我が家のsliding wallです。
一間幅なので、かなりの存在感があり、開け閉めで雰囲気が変わります。
普段は開け放っているのですが、布団が敷きっぱなしなのに、急にお客さんが来た時だけ閉めます(笑)。