人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

地球の上に生きる 

アリシア・ベイ=ローレルさんの「地球の上に生きる」は、ずっと大切にしている本です。

まえがきの一部をご紹介します。

工場で生産される消費物質になるべく頼らないようにすれば、わたしたちは静かな暮らしができるはずです。体には活力がみなぎってくるでしょう。大地のリズムにしたがって生活することののびやかさもわかってくるでしょう。おたがいに傷つけあうこともなくなります。

帯には「世界中で愛されているスローライフの名著」とあります。

ただ、そのハードルは、「棒高跳びかっ!」ていうくらい高いものです。

内容は、

・徒歩旅行

・手でお洗濯をしよう

・野外料理

このあたりはいいとして、

・せっけんのつくり方

・陶器のつくり方

・かごのつくり方

・小屋のつくり方

・楽器のつくりかた

・はたおり機と織り方

と、だんだん難しくなってきて

さらに、

・ひとりでするお産!

などなど・・・、現代の日本では、一歩を踏み出すのになかなか勇気のいるものが多いのです。

というより不可能なものも多々あります。

山で亡くなった人を火葬する方法とか・・・。


実用的でないということで批判する方もいるかもしれません。

ただ、この本は、改訂版のあとがきにあるように

この本は厳密な意味での実用書としてよりも、時代・環境のちがいをこえた、私たち現代人の憧れを満たしてくれる書として

そう読めば良いんだと思います。

 

本の帯で、谷川俊太郎さんが書いています。

この本にしるされたことを、かたっぱしから自分の手で試したい、せめて試すことを夢見たい。それだけでも私の人生は、きっと根本から変わるだろう。

 

そうなんです。

試すことを夢見る事でも十分な気がするんです。

 

八ヶ岳山麓に自宅を計画していたのも、そんな夢のひとつでした。

いろいろとあって結局何の変哲もない田舎町で暮らすことになり、夢からずっと遠ざかっていました。

 

でも、もう一度20代の頃の理想に、正面から向き合ってみようかな。

体力は落ちてきたけれど、せめて、試すことを夢見ることだけは続けてみたいなと思います。