人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

ひとにはひとのクラムボン 「やまなし」宮沢賢治

仕事というわけでもないのですが、仕事納めで一つ朗読の音源をつくりました。

宮沢賢治「やまなし」

神秘的、幻想的で、美しく可愛らしい珠玉の物語です。

クラムボンって何でしょう」

小学生の時、国語の先生からきかれて、みんなで話し合ったような・・・。

本当は記憶が怪しいところなのですが、よくそう言われているので、自分の記憶の中でもそんなシーンが軽く捏造されています(笑)。

クラムボン

泡、光、何かの生物・・・、様々な議論がありますが、みなそれぞれですよね。

ひとにはひとのクラムボン

想像の余地がたくさん残っているのが素敵ですね。

私はシンプルに「泡派」です。

 

「やまなし」は、季節の移り変わりや自然の美しさ、あるいはその厳しさを縦糸に、蟹の親子の温かい交流を横糸に紡がれた、どこまでも透明で幻想的な「二枚の青い幻燈」として描かれたもの。
その二枚の幻燈は、5月と12月の2部で構成されています。

 

私にとって印象深い事の一つは、春から冬にかけての蟹の兄弟の成長です。
特に弟の微かな自我の芽生えと、それを優しく受け止める兄の姿には微笑ましいものがあります。

もう一つは父さん蟹。
5月の部では、子どもたちをいたずらに怖がらせないよう、注意深く自然の厳しさを教え、時には父の威厳など見せていたりします。

ところが12月の部で、やまなしが上から「トブン」ときたら、父さん蟹のテンションは突然あがってしまいます。

最後は、ひとり盛り上がる父を、今度は子どもたちが優しい目で見ているような、読んでいてあたたかい気持ちになるシーンで、幕を閉じます。

 

そのような、あたたかく透明なイメージを朗読で、また、水中の幻想的な雰囲気を音で表現してみました。

皆様、良いお年を!。

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