20代の終わりに、昭和生まれの若者らしく、仕事を辞めインドを旅しました。
当時も今も自分のアイドル、ブッダ(出家前はシッダールタ)の生誕から入滅まで、ゆかりの地を巡る旅でした。
本当の聖地巡礼です。
祇園精舎にも立ち寄りました。
そこは遺跡を含む歴史公園のようになっていて、発掘など作業が続いていました。
たくさん写真を撮ったのですが、全く整理というものをしませんので、どれがどこなのかさっぱりわかりません。
こどもが可愛かったので、ここが祇園精舎ということにしました(笑)。
平家物語冒頭の「祇園精舎の鐘」というものは実際には存在しませんが、かすかな記憶では、日本の人達が寄贈した鐘があるようなことを現地のガイドさんが言っていました。
平家物語に「寄せた」感じでしょうか。
「諸行無常」、「盛者必衰」といった仏教的無常観を基調とする平家物語の、その冒頭にこの「祇園精舎の鐘の声」を持ってきた平家物語の作者。
実際にはそれが無かったとしても、そのイマジネーションの豊かさに心を打たれます。
祇園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらわす。
奢れる人も久しからず、
ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂には滅びぬ、
ひとえに風の前の塵に同じ。
平家物語冒頭の「祇園精舎」。
その朗読音源をつくろうと思い立って最初に考えたのは、その「祇園精舎の鐘の声」ってどんな音?でした。
考えながら何度も暗唱しました。
そのうち心のなかに響いていたのは鐘というよりはもっと繊細なシンギングボウルのような音でした。
シンギングボウル 長く響き続ける優しい音色。
そこで、ネット上にたくさんあるシンギングボウルのフリー音源をいろいろ聴いてみて、気に入ったものをお借りして音楽に取り込むことにしました。
シンギングボウルのピッチを曲のキーにあわせて調整して、その持続する美しい音色を通奏音として響かせて、その上に以前作った音源をサンプリングしたり、新しい音を加えたりしてつくりました。
猛き者も遂には滅びぬ、
ひとえに風の前の塵に同じ。
そろそろ、そんな時期を迎えそうですね。