こどもの頃、兄が「うっかり」買ってきたBeatlesのHELP!「米国版」(の国内版)。

当時のレコード屋さんのBeatlesのところには、英国(編集)版、米国(編集)版、日本(編集)版がごちゃまぜに並んでいました。
帯のところにはそれぞれの国旗がデザインされているので、わかるようにはなっているのですが、内容がどんな編集になっているのかなんて、こどもにはわかりゃしません。
1曲目にヘルプ!と書いてあるんで、例の「HELP!!」から始まるかと思いきや、何か007みたいな曲が始まってズコッとなった記憶があります。
Beatlesの曲は半分くらいしか入っていなくて、後はよくわからない曲たち。
何だか損したような気がしました。
よく見ると、「ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK」って書いてありますけどね、こどもなので・・・。映画も見たことありませんでしたし。
お祭りの夜店で西城秀樹のカセットを買ってみたら、「西城秀樹の曲を知らないおじさんが歌ってた」みたいな話はよくありましたが、そこまでいかないまでも、かなりがっかりしたことを覚えています。

40何年かぶりに聴いてみたんです。
メチャクチャ良いです。
こればっかり聴いてます。
この「乙な感じ」がようやくわかるようになってきたという事でしょうか。
英国版はオリジナルの映画挿入歌7曲に、当時のヒット曲7曲。
米国版は同じくオリジナルの映画挿入歌7曲とケン・ソーンの編曲によるサウンドトラック、いわゆる劇伴が組み合わさった編集になっていて、ジャケットに書いてあるとおりの、サントラ然とした雰囲気をたたえた、味わい深いアルバムになっています。
A面 Help! ※007風イントロ付き
The Night Before
From Me To You Fantasy ※劇伴
You've Got To Hide Your Love Away
I Need You
In The Tyrol※劇伴
B面 Another Girl
Another Hard Day's Night ※劇伴
Ticket To Ride
The Bitter End / You Can't Do That※劇伴
You're Going To Lose That Girl
The Chase※劇伴
(太字がbeatlesオリジナルの挿入歌)
すでに映画を見ているからかもしれませんが、あのドタバタした謎のスパイ映画みたいなコミカルな感じやユーモア、当時のイギリスからみたオリエンタルなものへのイメージやなんかが滲み出てくるんです。
ジョージがシタールを取り入れるのに一歩先んじで、ケン・ソーンがそれを大々的に取り入れていて、その後やってくるサイケデリックの時代の萌芽のようなものを感じられるのも発見でした。

同じ「HELP!」でも全くの別物。
英国版が甲なら、米国版は乙。
英国版は、名曲満載の最強のロックアルバム。
米国版は、beatlesの曲は7曲しか入ってないけど、1965年のロンドンの空気を閉じ込めたドキュメンタリーのようなサントラ。
アルバムの完成度としては乙な米国版のほうが高いかも。
もっと早くから聴いておけばよかった。
それこそ、損しました。
でも、これもCDプレーヤーが壊れたおかげです。