人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

ただ鳥が啼いている

ちいさな可愛らしいメジロが庭にやってくるようになりました。 ローズマリーをつついているようです。 そろそろ、お隣の庭でウグイスが啼き始める時期です。 いつもうちの庭ではなく、お隣です(笑)。 格が違うのか。 娘が高校受験の追い込みで、歴史年号の…

風信子の家 4.3坪の夢

自宅は経済の事情で小さな平屋になるようで、設計をしていた10年ほど前、古今東西の「小さな家」研究を随分としました。 同時代のもの、特に戦後の日本は物資の不足や土地の狭さなどもあり、それは一つのジャンルのようなものを形成していて、有名建築家の実…

家も根を張る

昔の写真データを時々整理します。 娘の赤ちゃんの頃の写真なんかを眺めていると日が暮れます。 我が家の赤ちゃんの頃の写真も出てきて、しばらく眺めていました。 久しぶりに会ったような気がします。 今は緑に覆われていてほぼ屋根しか見えないので、いろ…

家を、庭をapprivoiser(アプリヴォワゼ)する 「星の王子さま」から学んだこと

蚊が出なくなったので、久しぶりに庭のパトロール。 4本あったキンメツゲのうち、1本が枯れていました。 そこそこ日も当たるし、水も撒いていたのですが・・・。 枯れた一本だけは窓から見えない位置にあったのでした。 ですから、それにまったく気づきませ…

27歳のビーチクルーザー(←今日知った名前)

天気が良かったので自転車を洗いました。 27年前に仙台で買ったのでした。 27年も乗っている貧乏性。 記念に写真を撮って、グーグルレンズというのを押してみたら、「ビーチクルーザー」と出てきました。 そんな名前がついてたのか。 調べてみたら、ビーチク…

環境に呼応する建築   とらや工房・安曇野ちひろ美術館

先日、御殿場の東山旧岸邸に伺ったのですが、同じ敷地内に「とらや工房」がありました。 www.toraya-kobo.jp 内藤廣さんの設計ですね。 なにやら行列ができていました。 皆様の会話によると「おこわ」かなにかの列のようでした。 行列がはけてから、お茶をい…

生垣は見通し優先で

うちは角地にあります。 庭をぼんやり眺めていると、時々自転車どうしが衝突しそうになっているのを見かけます。 「自転車は左側通行」ということを守ってくれれば良いのですが、子ども達には通用しません。 高校生ぐらいになると、ノーブレーキはもちろん、…

敷居のカモフラージュ 東山旧岸邸

吉田五十八さん設計の東山旧岸邸の思ひ出を小出しに書いています。 他に見学者がいなかったこともあって、あれこれ質問しまくる私に、案内の方が熱心に説明してくださいました。 この建物への愛情をひしひしと感じました。 和室ゾーンに入る襖のところ。 テ…

東山旧岸邸の逆さ庭

御殿場にある吉田五十八さん設計の東山旧岸邸。 リビングテーブルの天板は鏡のよう。 庭の緑を映し出すように計算して天板を選び、配置したそうです。 逆さ富士のように庭が美しく映し出されます。 紅葉の季節にまた訪れたいと思います。 家の中に素敵な場所…

吉田五十八さん晩年の集大成  東山旧岸邸

同じ県内なのに行ったことのなかった、東山旧岸邸(静岡県御殿場市)に先日行ってきました。 吉田五十八(いそや)さん、晩年の集大成です。 東山旧岸邸は、首相を務めた岸信介の自邸として1969年に建てられ、現在は登録有形文化財に指定されています。伝統…

標高900mの並行世界 小さな家の由来記8

2023年9月19日 土地探しの中で、希望や条件に合い一旦購入を決意したものの、事情があって話が流れてしまうことってありますよね。 そんな土地を、ずいぶん経ってからこっそり見に行った経験はありますでしょうか。 何故かわからないのですが、私は時々そう…

ただ夕焼けがきれいだったから

夕方、娘が書道の教室から息せき切って帰ってきました。 「夕焼けがきれいだったから、教えたくて走ってきた。」とのこと。 特に何の根拠もないのですが ああ、もう、これで大丈夫だ そのように感じました。 同時に、幾番目かの子育てのステージが終わったこ…

避暑地と赤いベンツ 小さな家の由来記 5

2023年8月19日 土地探しの旅のなかで、海辺のまちにも足を運びましたが、どちらかというと山派のようで、標高の高い所もたくさん見てまわりました。 私達夫婦は2人とも海辺の生まれ育ちなのに不思議です。 異世界への憧れでしょうか。 昔書いていた文章です…

宮沢賢治の世界で暮らしたい 小さな家の由来記 4

10代の頃から宮沢賢治の作品に親しんできました。 本だけでなく新潮社の朗読カセットをテープがヨレヨレになるまで聴いたり、アニメ映画の「銀河鉄道の夜」のビデオを50回くらい観たりして・・・。 動物や森の樹々と会話のできる世界がファンタジーとは思え…

月と六ペンスと建築 小さな家の由来記 3

折り返し地点を過ぎると、「残り時間」というものを否応なく意識してしまうものですが、若い時分は時間が無限にあるように感じたのと、生来のんびりしているのもあって、随分と遠回りなことを平気でしてきました。 福島県三春町に家を建てる計画は、退職のタ…

三つの春を探して 小さな家の由来記 2

土地探しの長い旅を本格的に始めたのは2005年頃でしたが、90年代後半の、まだ独身時代に一度土地探しと家づくりを考えたことがあります。 想いを寄せた場所は福島県三春町でした。 旅路のスタート地点はあそこだったかもしれません。 その豊かな自然環境をい…

手付流しと倍返し 小さな家の由来記 1.1

先日なにげなく「手付(てつけ)」のことを書いたのですが、不動産の売買にそれほど馴染みのない方もいらっしゃるかもしれないと思い、慌てて「手付」について簡単にまとめてみました。 「申し込み金」と雰囲気が似ているので、ちょっと混乱しがちですよね。…

運命の出会いはあるのか  小さな家の由来記 1

2023年8月6日 「ビビビ婚」(古っ!)のようなものが、土地との出会いにもあるのかな。 時々考えます。 住宅本をたくさん読んでいると、そういった感じのストーリーに馴染んできますね。 本に限らず作品として世に出すのなら、多少のトリートメントは施すだ…

小さな家の由来記 0

建築ブログだったのでした。 建築、主に住宅建築について何か参考になるようなことでも書いて、少しでも人様のお役に立ちたいなどと殊勝なことを考えブログを開設したのですが、ただただ人様のブログを読んで「自分の役にたっている」というのが、実際の有様…

自然に感じ入る日々

静岡の海沿いのまちに家を建てました。 いつも頭の片隅にうっすらと津波のことがあります。 車のお腹がすぐに錆びてきます。 それでも、海の力は偉大です。 昔、理科や、建築の環境の授業で習った「海風と陸風」をきちんと吹かせてくれます。 昼は海から陸に…

宿題は涼しいうちに  夏のレファレンス

第二の故郷、秋田が大雨で被災してしまいました。 親戚の家はギリギリ浸水を免れたそうですが、断水が続いているようです。 一日も早く、平穏な日常が戻りますように。 夏が何だか雑な感じになってきましたね。 子どもの頃の夏はもう少し情緒があったような…

空と君とのあいだには   やかましい屋根の話

我が家の屋根材はガルバリウム鋼板。 メリットはたくさんあって、それでガルバリウム鋼板を選択したのですが、こと音響面になると注意が必要です。 承知していたとはいえ、金属屋根の発するサウンドには、なかなかのものがあります。 平屋のうえ、いわゆる平…

外壁のランダムウォーカー

我が家の外壁は「渋墨」という、柿渋とお酒と松煙を混ぜたもので塗装しています。 akekurenote.hatenablog.com 私がやや化学物質過敏症ぎみなこともあって、あまり強力な塗料ではなく、このようなソフトなものを使っています。 ソフトといっても相当な雨風に…

おしくらガーデニング

たいした根拠はないのですが、庭の木はある程度密に植えた方が良い気がしていました。 一刻も早く木陰をつくりたい(酷暑対策)、とか防風林(西風対策)に育てたいとか、実利的な目的もあるのですが、おしくらまんじゅうをしているように、賑やかな方が元気…

豪雨の夜に ~屋根の爆音とギターの爆音と

自宅の屋根は何の変哲も無い、ごく単純な寄棟です。 それでも設計には、大変なエネルギーを注ぎました。 構造と意匠、それから機能と雨仕舞。 日本は雨の国、そして日本建築は屋根の建築だと思っているので、設計の労力の半分は屋根の納まりのために費やしま…

グルメなヒヨドリ

庭のジューンベリー。 毎年、ヒヨドリとの収穫競争になります。 今年も「ヒヨドリ初日」は大量に持っていかれました・・・。 「少しとっておいてね」の声掛けがきいて遠慮したのか、それからあまり採りに来なくなってしまったようです。 おかげで毎日少しず…

幸せの音

ここに越してきた頃、高校生だったお向かいのお姉さん。 いつのまにか結婚して里帰り出産をされたようです。 時の流れが急加速しております。 気をつけなくてはなりません。 開いた窓から風に乗って可愛らしい声が聞こえてきます。 元気いっぱい泣く赤ちゃん…

ルーペでお花見【地味注意】

なんだかんだと理屈をつけて、もじゃもじゃの庭(ナチュラルガーデンとも言います 笑)に「あえて」している風な雰囲気を出していますが、本当は花の咲き乱れる庭に憧れていたりします。 イギリスのファンタジー「トムは真夜中の庭で」(なんて美しいラスト…

緑陰と微気候 天然のクーラー

雑誌に載っているような、おしゃれな雑木の庭をつくるつもりでした。 「つもり」というのは、全然そうなっていないからで・・・笑。 この地域の夏の強烈な日差しと、冬の強烈な西風を恐れるあまり、密集した「雑木の森」にしてしまいました。 夏は日差しに照…

黒い外壁 無垢の板壁

ひと頃よりは減ったような気がしますが、黒いガルバリウムを張った新築住宅をよく見かけます。 うちも遠目には黒ガルバリウムのようにみえますが、無垢の杉板を張って黒く塗装しています。 杉板は150×15の縦張り。押縁でおさえています。 「焼杉ですか?」と…