人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

避暑地と赤いベンツ 小さな家の由来記 5

2023年8月19日

土地探しの旅のなかで、海辺のまちにも足を運びましたが、どちらかというと山派のようで、標高の高い所もたくさん見てまわりました。

私達夫婦は2人とも海辺の生まれ育ちなのに不思議です。

異世界への憧れでしょうか。

 

昔書いていた文章です。

2017年 3月17日  避暑地と赤いベンツ

東京に住んでいる頃、体調があまり思わしくなく、どこか空気の良いところで暮らしたいと考えて、某有名避暑地の土地を集中的にまわっていた時期がありました。

どの土地も、カラ松林に囲まれた美しく気持ちの良い場所でした。

 

ネームバリューに惹かれていたわけでは、もちろんありません。

実際、候補になったのも、その有名避暑地の名前がつかない、隣町にあった土地でした。

 

避暑地というと、別荘ばかりでシーズンオフは閑散としているイメージがありますが、そこは定住している方も多く、近くに学校や幼稚園もあり、仕事をするのにも生活するのにも、理想に近い所でした。

 

その頃まだ子どもはいませんでしたが、一応幼稚園や学校などの施設も見ておこうと思って、レンタルしていたスズキのラパンで近くをぐるぐるとまわっていました。

それが間違いでした。・・・いや、むしろ正解だったのかな。

 

ちょうど幼稚園のお迎えの時間だったんだと思います。

お母さんたちの迎えの車が列をなしているんですが、並んでいるのは、赤いベンツ赤いBMW、あと名前はわかりませんが、とにかく赤い高級車

それはつまり、「日常の足として使うセカンドカーなのに高級車」という記号なのだろうと私には思えてしまい(思い込みなのですが・・・)、「ここには住めない」と瞬時に悟り、スズキ・ラパンでそ~っと脇を走り抜けました。

「土地は買えても、隣近所は買えない」という話をよく聞きます。

 

住むということは、子どもも含めてその地域の一員になっていくということですから、その土地の「地べた」そのものだけでなく、コミュニティーも含んだ広い意味での「土地がら」をみていくのも大事ですね。

良い悪いではなく、私達はただ、そこに似合いませんでした。

 

2023年8月19日

高原を渡る風、木々の香り、野鳥のさえずり、その中に身を置くこともできたのですが、あと一歩のところで、自分から離れてしまいました。

両手にすくっていた夢が指の間からスルッとこぼれていったような感触が残っています。

 

ちなみに今乗っているのは、スズキ・ラパン(しかもメインのファーストカー 笑)です。