人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

建築

こどもが守られる世界

以前つくった「雪」の朗読音源の音が気に入らなくて直していました。 雪三好達治 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。 たった二行の美しい詩。短さ故に様々な解釈ができますね。 太郎と次郎は兄弟で、一つ屋根の…

人と栖と ずっと鴨長明先輩の背中を見ていました

10代で出会って以来、「方丈記」とは長い付き合いになりました。 ずっと、鴨長明先輩の背中を見て、知らずに随分と影響を受けてきた気がします。 建築、特に住宅の設計を始めてからは、後半の方丈の庵について記された部分を繰り返し読みました。建築家の書…

10歳の家

自宅を建てて10年が経ち、工務店の皆さんが10年点検に来てくれました。 特別不具合もなく、シロアリの被害もなく、銀鼠の渋い光を放つデッキなど良い感じに年齢を重ねた経年美を褒めてくれました。 設計・施工中は、お互い良いものをつくりたいという思いで…

すきとおったほんとうのたべもの

ご無沙汰しております。 宮沢賢治「注文の多い料理店 序」の朗読音源をつくっていました。 この「序」は、宮沢賢治の初めての、結果的には唯一の童話集「注文の多い料理店」の冒頭に綴られているものです。 これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はら…

帰ってきた座敷わらし【朗読】宮沢賢治「ざしき童子のはなし」

大変ご無沙汰しております。 ここのところ、宮沢賢治「ざしき童子のはなし」の朗読音源をせっせとつくっておりました。 以前、座敷わらしの姿が見えなくなったという記事を書きました。 akekurenote.hatenablog.com あの子が戻って来たのは昨年の夏のことで…

海風 山風 五感のリセット

先日、静岡市では40℃超という記録的な猛暑に。 この辺りは静岡市からはそれほど離れてはいないのですが、海沿いということもあってか、32℃ほどですみました。 地形でこんなに違うものなのか、と驚きます。 室内は29~30℃でした。 クーラーを使わなくても(無…

フレーミングで「なかったことにする」インテリア写真

随分昔のことですが、一級建築士を取得する前にインテリアコーディネーターの資格を取得しました。 まだ経験の浅い頃でしたので、たくさんの優れたインテリアや家具などを見てまわって、もちろんテキストでも懸命に勉強しました。 更新料がもったいなくて、…

どこに行くのかデスクツアー

ネット上でよく見かける「デスクツアー」みたいな写真を撮ってみようと、うっかり思ってしまったのですが、どうにもお洒落でなく、早々に諦めました。 奥の方で仙台四郎さんが座ってたりします。 元仙台市民なので、仙台四郎さんは大切にしています 特に商売…

「うたのおにいさん」の「本当は・・・」を、ずっと考えていた

(お金をとる)放送局に勤めていた20代。 自分には不向きな世界でストレスだらけだったけれど、ただ一つの癒しのお仕事、 「おかあさんといっしょ」 子ども達の笑顔に、自分の汚れた心が洗われていくようでした。 あまりそんな機会は無かったのですが、一度…

最後の授業参観と成長のドア

今日は最後の授業参観。 幼稚園の頃から中三までの12年間。 たくさんの思い出がぐるぐる巡って、廊下で倒れそうになりました。 様々なことがひとつずつ静かに終わっていきます。 何か新しく始めないと、このまま何もかも終わってしまいそう。 この土地にこの…

雨の国の屋根の家

その敷地にどんな屋根を浮かべたいか。 そこから考えます。 堅牢かつ軽量で美しい屋根。 形状・素材・性能・軒の出。 もし2階建であれば、その屋根の荷重を支える2階の設計をします。 それから、屋根と2階の荷重を支える1階の設計をします。 その後、そのす…

風信子の家 4.3坪の夢

自宅は経済の事情で小さな平屋になるようで、設計をしていた10年ほど前、古今東西の「小さな家」研究を随分としました。 同時代のもの、特に戦後の日本は物資の不足や土地の狭さなどもあり、それは一つのジャンルのようなものを形成していて、有名建築家の実…

宴たけ宣言と三幕構成

私は、お酒を一滴も飲めません。 昔ビールを2~3杯飲んで救急車で運ばれました。 サイレンの音は微かに聴こえたのですが、 朝、意識が戻った時には病院のベッドの上。 山の中の小さな病院でした。 窓から白い光が差し込み、 樹々の梢からは小鳥のさえずりが…

恋しい家こそ 私の星空

家について あれこれと七面倒なことを時々言ったりしますが、 本当は何でもいいと思っています。 木造でも、鉄骨造でも、RC造でも 外断熱でも、内断熱でも 屋根は切妻でも、寄棟でも、片流れでも 壁は白でも、黒でも 持ち家でも、賃貸でも なんでも、人それ…

家も根を張る

昔の写真データを時々整理します。 娘の赤ちゃんの頃の写真なんかを眺めていると日が暮れます。 我が家の赤ちゃんの頃の写真も出てきて、しばらく眺めていました。 久しぶりに会ったような気がします。 今は緑に覆われていてほぼ屋根しか見えないので、いろ…

家を、庭をapprivoiser(アプリヴォワゼ)する 「星の王子さま」から学んだこと

蚊が出なくなったので、久しぶりに庭のパトロール。 4本あったキンメツゲのうち、1本が枯れていました。 そこそこ日も当たるし、水も撒いていたのですが・・・。 枯れた一本だけは窓から見えない位置にあったのでした。 ですから、それにまったく気づきませ…

原始とか言われてるし

私の家、自分としてはモダンデザインを施したつもりなのですが・・・。 娘(イヤイヤ期継続中)の通う中学の男子は、この家のことを「平安」とか「縄文」とか呼んでおりました。 「江戸時代より前は大昔」みたいな雑な歴史認識。それが男子中学生。 以前ラジ…

悲しい時にそっと始まった家づくりがありました

ハウスメーカーさんのCMは夢に溢れていますね。 若いパパ、ママと可愛いお姉ちゃんと弟さんが白い朝日を浴びて幸せそうです。 実のところ、家づくりは思ってもみなかった困難に直面したりして、つらいこともあったりします。 ですから、出会いから引き渡しま…

環境に呼応する建築   とらや工房・安曇野ちひろ美術館

先日、御殿場の東山旧岸邸に伺ったのですが、同じ敷地内に「とらや工房」がありました。 www.toraya-kobo.jp 内藤廣さんの設計ですね。 なにやら行列ができていました。 皆様の会話によると「おこわ」かなにかの列のようでした。 行列がはけてから、お茶をい…

高校受験 シフトアップをした15の夜

友達が高校の募集定員の載った新聞記事を持ってきてくれました。 情弱ぶりをよくわかってくれています(笑)。 ありがたいです。 うちには受験生がいたのでした。 娘はマンガやアニメが大好きです。 できるだけ好きな事にはのめりこんでほしいので、勉強のこ…

生垣は見通し優先で

うちは角地にあります。 庭をぼんやり眺めていると、時々自転車どうしが衝突しそうになっているのを見かけます。 「自転車は左側通行」ということを守ってくれれば良いのですが、子ども達には通用しません。 高校生ぐらいになると、ノーブレーキはもちろん、…

敷居のカモフラージュ 東山旧岸邸

吉田五十八さん設計の東山旧岸邸の思ひ出を小出しに書いています。 他に見学者がいなかったこともあって、あれこれ質問しまくる私に、案内の方が熱心に説明してくださいました。 この建物への愛情をひしひしと感じました。 和室ゾーンに入る襖のところ。 テ…

東山旧岸邸の逆さ庭

御殿場にある吉田五十八さん設計の東山旧岸邸。 リビングテーブルの天板は鏡のよう。 庭の緑を映し出すように計算して天板を選び、配置したそうです。 逆さ富士のように庭が美しく映し出されます。 紅葉の季節にまた訪れたいと思います。 家の中に素敵な場所…

吉田五十八さん晩年の集大成  東山旧岸邸

同じ県内なのに行ったことのなかった、東山旧岸邸(静岡県御殿場市)に先日行ってきました。 吉田五十八(いそや)さん、晩年の集大成です。 東山旧岸邸は、首相を務めた岸信介の自邸として1969年に建てられ、現在は登録有形文化財に指定されています。伝統…

光が円柱を撫でるとき

季節ごと、日ごと、折々様々な光が家にやってきます。 信じられないほどの強烈な朝日が差し込む東の窓。 天窓から入り込んで、ロフトの床で跳ね返り、 家じゅうを駆けまわる光。 デッキに反射して、それが化粧天井を照らし、 その反射がまた床を照らし・・・…

標高900mの並行世界 小さな家の由来記8

2023年9月19日 土地探しの中で、希望や条件に合い一旦購入を決意したものの、事情があって話が流れてしまうことってありますよね。 そんな土地を、ずいぶん経ってからこっそり見に行った経験はありますでしょうか。 何故かわからないのですが、私は時々そう…

風立ちぬ /美しい村 憧憬   小さな家の由来記7

家を建てるための土地探しの旅。 文学作品の舞台になった憧れの地をいくつかまわりました。 そんなエリアの一つ、浅間山山麓、八ヶ岳山麓は随分たくさんの土地を見させてもらいました。 これだと思う理想の土地にも出会いました。 敷地の左右と奥は林の状態…

避暑地と赤いベンツ 小さな家の由来記 5

2023年8月19日 土地探しの旅のなかで、海辺のまちにも足を運びましたが、どちらかというと山派のようで、標高の高い所もたくさん見てまわりました。 私達夫婦は2人とも海辺の生まれ育ちなのに不思議です。 異世界への憧れでしょうか。 昔書いていた文章です…

逢えたら長生きしたくなった  藤原義孝先輩の純情

いきなりで何ですが、私どうしても 「親子丼」という名称を受け入れることができないんです。 料理の名前なんかなんでも良いだろ、というのも確かにそうかもしれません。 でも、いくら何でもひどすぎませんか。 そうでもないですか。 いずれにしても、こんな…

宮沢賢治の世界で暮らしたい 小さな家の由来記 4

10代の頃から宮沢賢治の作品に親しんできました。 本だけでなく新潮社の朗読カセットをテープがヨレヨレになるまで聴いたり、アニメ映画の「銀河鉄道の夜」のビデオを50回くらい観たりして・・・。 動物や森の樹々と会話のできる世界がファンタジーとは思え…