人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

建築

「うたのおにいさん」の「本当は・・・」を、ずっと考えていた

(お金をとる)放送局に勤めていた20代。 自分には不向きな世界でストレスだらけだったけれど、ただ一つの癒しのお仕事、 「おかあさんといっしょ」 子ども達の笑顔に、自分の汚れた心が洗われていくようでした。 あまりそんな機会は無かったのですが、一度…

最後の授業参観と成長のドア

今日は最後の授業参観。 幼稚園の頃から中三までの12年間。 たくさんの思い出がぐるぐる巡って、廊下で倒れそうになりました。 様々なことがひとつずつ静かに終わっていきます。 何か新しく始めないと、このまま何もかも終わってしまいそう。 この土地にこの…

雨の国の屋根の家

その敷地にどんな屋根を浮かべたいか。 そこから考えます。 堅牢かつ軽量で美しい屋根。 形状・素材・性能・軒の出。 もし2階建であれば、その屋根の荷重を支える2階の設計をします。 それから、屋根と2階の荷重を支える1階の設計をします。 その後、そのす…

風信子の家 4.3坪の夢

自宅は経済の事情で小さな平屋になるようで、設計をしていた10年ほど前、古今東西の「小さな家」研究を随分としました。 同時代のもの、特に戦後の日本は物資の不足や土地の狭さなどもあり、それは一つのジャンルのようなものを形成していて、有名建築家の実…

宴たけ宣言と三幕構成

私は、お酒を一滴も飲めません。 昔ビールを2~3杯飲んで救急車で運ばれました。 サイレンの音は微かに聴こえたのですが、 朝、意識が戻った時には病院のベッドの上。 山の中の小さな病院でした。 窓から白い光が差し込み、 樹々の梢からは小鳥のさえずりが…

恋しい家こそ 私の星空

家について あれこれと七面倒なことを時々言ったりしますが、 本当は何でもいいと思っています。 木造でも、鉄骨造でも、RC造でも 外断熱でも、内断熱でも 屋根は切妻でも、寄棟でも、片流れでも 壁は白でも、黒でも 持ち家でも、賃貸でも なんでも、人それ…

家も根を張る

昔の写真データを時々整理します。 娘の赤ちゃんの頃の写真なんかを眺めていると日が暮れます。 我が家の赤ちゃんの頃の写真も出てきて、しばらく眺めていました。 久しぶりに会ったような気がします。 今は緑に覆われていてほぼ屋根しか見えないので、いろ…

家を、庭をapprivoiser(アプリヴォワゼ)する 「星の王子さま」から学んだこと

蚊が出なくなったので、久しぶりに庭のパトロール。 4本あったキンメツゲのうち、1本が枯れていました。 そこそこ日も当たるし、水も撒いていたのですが・・・。 枯れた一本だけは窓から見えない位置にあったのでした。 ですから、それにまったく気づきませ…

原始とか言われてるし

私の家、自分としてはモダンデザインを施したつもりなのですが・・・。 娘(イヤイヤ期継続中)の通う中学の男子は、この家のことを「平安」とか「縄文」とか呼んでおりました。 「江戸時代より前は大昔」みたいな雑な歴史認識。それが男子中学生。 以前ラジ…

悲しい時にそっと始まった家づくりがありました

ハウスメーカーさんのCMは夢に溢れていますね。 若いパパ、ママと可愛いお姉ちゃんと弟さんが白い朝日を浴びて幸せそうです。 実のところ、家づくりは思ってもみなかった困難に直面したりして、つらいこともあったりします。 ですから、出会いから引き渡しま…

環境に呼応する建築   とらや工房・安曇野ちひろ美術館

先日、御殿場の東山旧岸邸に伺ったのですが、同じ敷地内に「とらや工房」がありました。 www.toraya-kobo.jp 内藤廣さんの設計ですね。 なにやら行列ができていました。 皆様の会話によると「おこわ」かなにかの列のようでした。 行列がはけてから、お茶をい…

高校受験 シフトアップをした15の夜

友達が高校の募集定員の載った新聞記事を持ってきてくれました。 情弱ぶりをよくわかってくれています(笑)。 ありがたいです。 うちには受験生がいたのでした。 娘はマンガやアニメが大好きです。 できるだけ好きな事にはのめりこんでほしいので、勉強のこ…

生垣は見通し優先で

うちは角地にあります。 庭をぼんやり眺めていると、時々自転車どうしが衝突しそうになっているのを見かけます。 「自転車は左側通行」ということを守ってくれれば良いのですが、子ども達には通用しません。 高校生ぐらいになると、ノーブレーキはもちろん、…

敷居のカモフラージュ 東山旧岸邸

吉田五十八さん設計の東山旧岸邸の思ひ出を小出しに書いています。 他に見学者がいなかったこともあって、あれこれ質問しまくる私に、案内の方が熱心に説明してくださいました。 この建物への愛情をひしひしと感じました。 和室ゾーンに入る襖のところ。 テ…

東山旧岸邸の逆さ庭

御殿場にある吉田五十八さん設計の東山旧岸邸。 リビングテーブルの天板は鏡のよう。 庭の緑を映し出すように計算して天板を選び、配置したそうです。 逆さ富士のように庭が美しく映し出されます。 紅葉の季節にまた訪れたいと思います。 家の中に素敵な場所…

吉田五十八さん晩年の集大成  東山旧岸邸

同じ県内なのに行ったことのなかった、東山旧岸邸(静岡県御殿場市)に先日行ってきました。 吉田五十八(いそや)さん、晩年の集大成です。 東山旧岸邸は、首相を務めた岸信介の自邸として1969年に建てられ、現在は登録有形文化財に指定されています。伝統…

光が円柱を撫でるとき

季節ごと、日ごと、折々様々な光が家にやってきます。 信じられないほどの強烈な朝日が差し込む東の窓。 天窓から入り込んで、ロフトの床で跳ね返り、 家じゅうを駆けまわる光。 デッキに反射して、それが化粧天井を照らし、 その反射がまた床を照らし・・・…

標高900mの並行世界 小さな家の由来記8

2023年9月19日 土地探しの中で、希望や条件に合い一旦購入を決意したものの、事情があって話が流れてしまうことってありますよね。 そんな土地を、ずいぶん経ってからこっそり見に行った経験はありますでしょうか。 何故かわからないのですが、私は時々そう…

風立ちぬ /美しい村 憧憬   小さな家の由来記7

家を建てるための土地探しの旅。 文学作品の舞台になった憧れの地をいくつかまわりました。 そんなエリアの一つ、浅間山山麓、八ヶ岳山麓は随分たくさんの土地を見させてもらいました。 これだと思う理想の土地にも出会いました。 敷地の左右と奥は林の状態…

避暑地と赤いベンツ 小さな家の由来記 5

2023年8月19日 土地探しの旅のなかで、海辺のまちにも足を運びましたが、どちらかというと山派のようで、標高の高い所もたくさん見てまわりました。 私達夫婦は2人とも海辺の生まれ育ちなのに不思議です。 異世界への憧れでしょうか。 昔書いていた文章です…

逢えたら長生きしたくなった  藤原義孝先輩の純情

いきなりで何ですが、私どうしても 「親子丼」という名称を受け入れることができないんです。 料理の名前なんかなんでも良いだろ、というのも確かにそうかもしれません。 でも、いくら何でもひどすぎませんか。 そうでもないですか。 いずれにしても、こんな…

宮沢賢治の世界で暮らしたい 小さな家の由来記 4

10代の頃から宮沢賢治の作品に親しんできました。 本だけでなく新潮社の朗読カセットをテープがヨレヨレになるまで聴いたり、アニメ映画の「銀河鉄道の夜」のビデオを50回くらい観たりして・・・。 動物や森の樹々と会話のできる世界がファンタジーとは思え…

月と六ペンスと建築 小さな家の由来記 3

折り返し地点を過ぎると、「残り時間」というものを否応なく意識してしまうものですが、若い時分は時間が無限にあるように感じたのと、生来のんびりしているのもあって、随分と遠回りなことを平気でしてきました。 福島県三春町に家を建てる計画は、退職のタ…

三つの春を探して 小さな家の由来記 2

土地探しの長い旅を本格的に始めたのは2005年頃でしたが、90年代後半の、まだ独身時代に一度土地探しと家づくりを考えたことがあります。 想いを寄せた場所は福島県三春町でした。 旅路のスタート地点はあそこだったかもしれません。 その豊かな自然環境をい…

手付流しと倍返し 小さな家の由来記 1.1

先日なにげなく「手付(てつけ)」のことを書いたのですが、不動産の売買にそれほど馴染みのない方もいらっしゃるかもしれないと思い、慌てて「手付」について簡単にまとめてみました。 「申し込み金」と雰囲気が似ているので、ちょっと混乱しがちですよね。…

運命の出会いはあるのか  小さな家の由来記 1

2023年8月6日 「ビビビ婚」(古っ!)のようなものが、土地との出会いにもあるのかな。 時々考えます。 住宅本をたくさん読んでいると、そういった感じのストーリーに馴染んできますね。 本に限らず作品として世に出すのなら、多少のトリートメントは施すだ…

小さな家の由来記 0

建築ブログだったのでした。 建築、主に住宅建築について何か参考になるようなことでも書いて、少しでも人様のお役に立ちたいなどと殊勝なことを考えブログを開設したのですが、ただただ人様のブログを読んで「自分の役にたっている」というのが、実際の有様…

自然に感じ入る日々

静岡の海沿いのまちに家を建てました。 いつも頭の片隅にうっすらと津波のことがあります。 車のお腹がすぐに錆びてきます。 それでも、海の力は偉大です。 昔、理科や、建築の環境の授業で習った「海風と陸風」をきちんと吹かせてくれます。 昼は海から陸に…

宿題は涼しいうちに  夏のレファレンス

第二の故郷、秋田が大雨で被災してしまいました。 親戚の家はギリギリ浸水を免れたそうですが、断水が続いているようです。 一日も早く、平穏な日常が戻りますように。 夏が何だか雑な感じになってきましたね。 子どもの頃の夏はもう少し情緒があったような…

空と君とのあいだには   やかましい屋根の話

我が家の屋根材はガルバリウム鋼板。 メリットはたくさんあって、それでガルバリウム鋼板を選択したのですが、こと音響面になると注意が必要です。 承知していたとはいえ、金属屋根の発するサウンドには、なかなかのものがあります。 平屋のうえ、いわゆる平…