人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

光が円柱を撫でるとき

季節ごと、日ごと、折々様々な光が家にやってきます。

 

信じられないほどの強烈な朝日が差し込む東の窓。

 

天窓から入り込んで、ロフトの床で跳ね返り、

家じゅうを駆けまわる光。

 

デッキに反射して、それが化粧天井を照らし、

その反射がまた床を照らし・・・、

それを繰り返し

奥の方までほんのり照らすバウンスライト。

 

今の時期、一番好きなのは日没前の

西日がゆっくりと円柱を撫でてゆく時間です。

 

光の強さによっては削っていくようにも見えます。

 

φ150の磨き丸太。

建築は性能や数値だけでは語れません。

 

パルテノン神殿の列柱も

法隆寺回廊の円柱も、

それをデザインした人は光が柱を撫で、

廻っていく様を計算し、楽しんでいたのかもしれません。

夕べのひととき。

今日も、もうじき30分ほどのマジックアワーがやってきます。

 

この時だけは、古代ギリシャの石工や飛鳥の工匠と

21世紀日本の片隅で引きこもっているポンコツ建築士は密かに交歓しているのです。