静岡の海沿いのまちに家を建てました。
いつも頭の片隅にうっすらと津波のことがあります。
車のお腹がすぐに錆びてきます。
それでも、海の力は偉大です。
昔、理科や、建築の環境の授業で習った「海風と陸風」をきちんと吹かせてくれます。
昼は海から陸に向かって、夜は陸から海に向かって。
天気予報の画面では日本地図が真っ赤になって、37℃、38℃という体温超えの気温が日々伝えられるなかでも、この辺りはせいぜい33℃程度です。
物理の法則とはいえ、環境の調整を日々してくれている海に感謝です。
庭の樹々も効果を発揮し始めました。
葉からの蒸散作用が、微弱だけれど天然のクーラーになって涼風を室内に送り込んでくれます。
外気温が32℃程度の時、窓を開け放った室内は28℃程度。
およそ4℃の差が生じています。
それこそ、陸風もあって、夜間は24℃から25℃ほど。
格子戸に施錠して、大きな掃き出し窓を全開にしていますので、夜中に寒くなって布団をかぶって寝たりしています。
家の中に目を向けると、無垢の木と漆喰が大きな働きをしているようです。
我が家の柱・梁・床・天井、すべてに、天然乾燥させた無垢の木(といっても、節だらけの等級の低いものなので、驚くほど安価です)を使っています。
時間をかけて乾燥させているので、ある意味で木の細胞も生きています。
その木が調湿をしてくれているようです。
天然乾燥なので、建ててからも乾燥は続きます。
そのせいか、数年前までは、その調湿機能がうまく機能していませんでした。
この時期になると、何となく床や柱がべとべとしている気がして。
今シーズンはサラッサラです。
8年程たって、天然乾燥がようやく完成して、調湿機能が働き出したのではないかと思っています。
漆喰の壁も同様です。
湿度が上がると水分を吸い、下がると放出してくれます。
自分が何かしたわけではなく、すべては、自然と自然の素材が坦々とその天分を発揮しているのみです。
庭の木がそこそこ育つのにも、木材や漆喰が完全に乾くのにも長い時間を要しましたが、必要なのはその時間をのんきに待つ「気長さ」だけのような気がします。
今、気持ちの良い夜風が吹き込んできます。
子どもの頃の夏の夜って、こんな感じだったなと、しみじみ。
地球環境は一直線に崩壊に向かっているかのような論調も散見されますが、決してそんなことはなくて、まだまだやれる(やめられる)ことはあると思っています。