人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

緑陰と微気候 天然のクーラー

雑誌に載っているような、おしゃれな雑木の庭をつくるつもりでした。

「つもり」というのは、全然そうなっていないからで・・・笑。

この地域の夏の強烈な日差しと、冬の強烈な西風を恐れるあまり、密集した「雑木の森」にしてしまいました。

夏は日差しに照らされた庭の熱気が窓から侵入してきます。(うちはエアコンがないので、これが最大の問題です。)

冬はちょっと家が揺れるほどの風にあおられます。

四季を一周したとろで、それが想像以上であることを確認し、庭のコンセプトを「おしゃれ」から「防御」に大転換しました(笑)。

二つの「強烈」から家を守るために、おしゃれとか言っていられなくなってしまったのです。

 

とにかく家の周りに緑の防御壁を張り巡らすこと。

数年間、見た目そっちのけで壁たちの育成に専念してきました。

 

沖縄の備瀬集落にあるフクギの生垣を見学したりもしました。

フクギは巨大な日除け、防風林。

それが連なって、集落全体が森のようになっていました。

家をつくること、庭をつくること、環境をつくること、家族を守ること・・・、それらが一体となった有機的な営みがそこにはありました。

 

 

緑陰は涼しい。

そんな当たり前のことを実感し始めています。

木は根から水を吸い上げるので、樹々は水の壁になっています。

そして、その水を葉から蒸散させ、その時に気化熱で周りの熱を奪います。

蒸散するときに生まれる上昇気流と対になって、冷やされた空気の下降気流が生じるので、木の下は涼しいんですね。

アスファルトの道路上は30度以上でも、木の下は25度くらいだったりします。

天然のクーラーですね。

その冷えた空気を風として家の中に招き入れるんです。

 

何だか自由研究みたいです。

そして、それは「微気候」の世界です。

 

核戦争の恐れさえある、何でも力で押し切ってしまう乱暴な世界の中で「微気候」なんて、ナイーブすぎるのかもしれませんが、もう自分はそうやって生きていくことに決めたのでもう後には引けません(笑)。

 

今年も梅雨明け辺りから夏の自由研究開始です。

エアコン無し(扇風機は一人一台あります!)で過ごせるか。(体調の悪い方、ご高齢の方はこのようなチャレンジはしないでくださいね。)

今までは5勝3敗くらいでした。

3敗というのは、ピークの2週間くらいはどうしても暑くて、図書館に避難したシーズンです(笑)。

今年は「防御壁」も育ってきたので、天然のクーラーでいけそうな気がしています。

 


時間はかかっていますが、根気よく森をつくっていこうと思います。

 

こちらは、ご近所の大先輩。

ポジティブな連鎖がいつか起きることを信じています。