人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

三つの春を探して 小さな家の由来記 2

土地探しの長い旅を本格的に始めたのは2005年頃でしたが、90年代後半の、まだ独身時代に一度土地探しと家づくりを考えたことがあります。

想いを寄せた場所は福島県三春町でした。

旅路のスタート地点はあそこだったかもしれません。

 

その豊かな自然環境をいかして、農地と宅地を複合的に開発しようとしているエリアがあり、そこに興味を持って会員登録のようなものをしました。

 

(お金をとる)放送局をやめて、もっと土に親しむ生活をしたいと思っていたんです。

夜中でも「おはようございます」なんていう世界に疲れていたこともあります。

パーマカルチャーやなんかを勉強して、そういったものに憧れの強い20代だったようです。

当時の愛読書は福岡正信さん「わら一本の革命」でした。

 

生活が安定するまで、と思い地元の小さなパン屋さんの面接まで受けていました。

社長には絶対(お金をとる)放送局を辞めないように諭されましたが・・・。

 

結局、退職のタイミングやら何やら、ひとつも上手くゆかず、結局そこに家を建てることはありませんでした。

 

でも、あの町の愛らしい風景や空気の清々しさは忘れることができません。

 

仙台での学生時代、何人かいた福島出身の友達は、本当に穏やかで朴訥で、そうじゃない人ももちろんいるんでしょうけど、少なくとも私の中の福島の人は皆、あたたかく優しい人たちでした。

そして仙台や秋田から見ると福島は南国、といったら大袈裟ですが、暖かくどこまでも美しく優しい土地がらでした。

 

ですから、そんな福島の、私の故郷になったかもしれない福島の土を汚したものを心の底から憎みます。

 

梅・桃・桜、三つの春が同時にやってくるという福島県三春町。

夢のような美しい場所でした。

 

その後、それこそ100か所以上土地めぐりをしましたが、どこかであの三春町の風景を探していたのかもしれません。