吉田五十八さん設計の東山旧岸邸の思ひ出を小出しに書いています。
他に見学者がいなかったこともあって、あれこれ質問しまくる私に、案内の方が熱心に説明してくださいました。
この建物への愛情をひしひしと感じました。
和室ゾーンに入る襖のところ。
テンションのあがってきた案内の方が、養生で敷いてあったカーペットをおもむろにめくりあげたそこに、それはありました。
写真ではわかりにくいかもしれませんが、襖の敷居です。
敷居といっても床材に細い溝が切ってあるだけです。
床材の連続性を損なわないためですね。
さらに、
写真の2の部分が本来の敷居部分ですが。1,3,4,5と等間隔に床材にわざわざ同様の溝を切ってあります。
素敵ぢゃありませんか!。
「もともとこういう床材だったから、たまたまあったその溝を使いました」みたいな感じですね。
こういう遊び心、たまらなくなってしまいます。
設計や施工を愛情を込めて、楽しみながらやっていた様子が目に浮かぶようです。
大先輩に失礼ではありますが、大変な親近感を感じます。
私にも、ちょっとさういふところが・・・。
我が家の大きな格子戸は垂木に固定した鴨居から吊っていて、
下部に取り付けたアングルをデッキの隙間をガイドにして、滑らせています。
格子戸を奥に引いてしまうと何も残らず、単純にデッキの床面だけになります。
「たまたまあったデッキの隙間を使いました」という「てい」の設計です。
本当は、工務店の方と一緒に随分頭をひねって考えました。
大事な部分で抜けているものは多々あるのに、そんな部分だけやたらと精力を傾けてしまいます。
見学にいらした方も、誰も気づいてくれないので、いつも自分から言っています(笑)。
でも、そんな遊び心も、なにもかも平和あってこそのものですね。
あらためて思います。