人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

建築

月と六ペンスと建築 小さな家の由来記 3

折り返し地点を過ぎると、「残り時間」というものを否応なく意識してしまうものですが、若い時分は時間が無限にあるように感じたのと、生来のんびりしているのもあって、随分と遠回りなことを平気でしてきました。 福島県三春町に家を建てる計画は、退職のタ…

三つの春を探して 小さな家の由来記 2

土地探しの長い旅を本格的に始めたのは2005年頃でしたが、90年代後半の、まだ独身時代に一度土地探しと家づくりを考えたことがあります。 想いを寄せた場所は福島県三春町でした。 旅路のスタート地点はあそこだったかもしれません。 その豊かな自然環境をい…

手付流しと倍返し 小さな家の由来記 1.1

先日なにげなく「手付(てつけ)」のことを書いたのですが、不動産の売買にそれほど馴染みのない方もいらっしゃるかもしれないと思い、慌てて「手付」について簡単にまとめてみました。 「申し込み金」と雰囲気が似ているので、ちょっと混乱しがちですよね。…

運命の出会いはあるのか  小さな家の由来記 1

2023年8月6日 「ビビビ婚」(古っ!)のようなものが、土地との出会いにもあるのかな。 時々考えます。 住宅本をたくさん読んでいると、そういった感じのストーリーに馴染んできますね。 本に限らず作品として世に出すのなら、多少のトリートメントは施すだ…

小さな家の由来記 0

建築ブログだったのでした。 建築、主に住宅建築について何か参考になるようなことでも書いて、少しでも人様のお役に立ちたいなどと殊勝なことを考えブログを開設したのですが、ただただ人様のブログを読んで「自分の役にたっている」というのが、実際の有様…

自然に感じ入る日々

静岡の海沿いのまちに家を建てました。 いつも頭の片隅にうっすらと津波のことがあります。 車のお腹がすぐに錆びてきます。 それでも、海の力は偉大です。 昔、理科や、建築の環境の授業で習った「海風と陸風」をきちんと吹かせてくれます。 昼は海から陸に…

宿題は涼しいうちに  夏のレファレンス

第二の故郷、秋田が大雨で被災してしまいました。 親戚の家はギリギリ浸水を免れたそうですが、断水が続いているようです。 一日も早く、平穏な日常が戻りますように。 夏が何だか雑な感じになってきましたね。 子どもの頃の夏はもう少し情緒があったような…

空と君とのあいだには   やかましい屋根の話

我が家の屋根材はガルバリウム鋼板。 メリットはたくさんあって、それでガルバリウム鋼板を選択したのですが、こと音響面になると注意が必要です。 承知していたとはいえ、金属屋根の発するサウンドには、なかなかのものがあります。 平屋のうえ、いわゆる平…

外壁のランダムウォーカー

我が家の外壁は「渋墨」という、柿渋とお酒と松煙を混ぜたもので塗装しています。 akekurenote.hatenablog.com 私がやや化学物質過敏症ぎみなこともあって、あまり強力な塗料ではなく、このようなソフトなものを使っています。 ソフトといっても相当な雨風に…

おしくらガーデニング

たいした根拠はないのですが、庭の木はある程度密に植えた方が良い気がしていました。 一刻も早く木陰をつくりたい(酷暑対策)、とか防風林(西風対策)に育てたいとか、実利的な目的もあるのですが、おしくらまんじゅうをしているように、賑やかな方が元気…

豪雨の夜に ~屋根の爆音とギターの爆音と

自宅の屋根は何の変哲も無い、ごく単純な寄棟です。 それでも設計には、大変なエネルギーを注ぎました。 構造と意匠、それから機能と雨仕舞。 日本は雨の国、そして日本建築は屋根の建築だと思っているので、設計の労力の半分は屋根の納まりのために費やしま…

グルメなヒヨドリ

庭のジューンベリー。 毎年、ヒヨドリとの収穫競争になります。 今年も「ヒヨドリ初日」は大量に持っていかれました・・・。 「少しとっておいてね」の声掛けがきいて遠慮したのか、それからあまり採りに来なくなってしまったようです。 おかげで毎日少しず…

幸せの音

ここに越してきた頃、高校生だったお向かいのお姉さん。 いつのまにか結婚して里帰り出産をされたようです。 時の流れが急加速しております。 気をつけなくてはなりません。 開いた窓から風に乗って可愛らしい声が聞こえてきます。 元気いっぱい泣く赤ちゃん…

ルーペでお花見【地味注意】

なんだかんだと理屈をつけて、もじゃもじゃの庭(ナチュラルガーデンとも言います 笑)に「あえて」している風な雰囲気を出していますが、本当は花の咲き乱れる庭に憧れていたりします。 イギリスのファンタジー「トムは真夜中の庭で」(なんて美しいラスト…

緑陰と微気候 天然のクーラー

雑誌に載っているような、おしゃれな雑木の庭をつくるつもりでした。 「つもり」というのは、全然そうなっていないからで・・・笑。 この地域の夏の強烈な日差しと、冬の強烈な西風を恐れるあまり、密集した「雑木の森」にしてしまいました。 夏は日差しに照…

黒い外壁 無垢の板壁

ひと頃よりは減ったような気がしますが、黒いガルバリウムを張った新築住宅をよく見かけます。 うちも遠目には黒ガルバリウムのようにみえますが、無垢の杉板を張って黒く塗装しています。 杉板は150×15の縦張り。押縁でおさえています。 「焼杉ですか?」と…

ジューンベリーとヒヨドリと

ジューンベリーが少しずつ色づき始めました。 いや、別に一粒たりともあげないなんて思っていませんよ。 半分ずつ、何なら9割差し上げてもいいですから、少しだけ残しておいてくれたらいいんです。 赤く熟れたジューンベリーをヒヨドリさんが根こそぎお持ち…

地球の上に生きる 

アリシア・ベイ=ローレルさんの「地球の上に生きる」は、ずっと大切にしている本です。 まえがきの一部をご紹介します。 工場で生産される消費物質になるべく頼らないようにすれば、わたしたちは静かな暮らしができるはずです。体には活力がみなぎってくる…

だんだん森になっていく

元々は森の中に住むつもりでした。 八ヶ岳山麓、標高900メートルの森の中。 いろいろあって土地を手放し、静岡の平地に住むことに。 今度は海抜7メートルです!。 高原をわたるあの風は吹きません・・・。 静岡の今の敷地では、ちょっと品のある雑木の庭をつ…

炭焼きレストラン「さわやか」と帰ってきた座敷わらし

先日、地元の超優良炭焼きレストラン「さわやか」に行ってきました。 歩いて行ける距離に「さわやか」がある幸せ!。 静岡県内限定とはいえ大きなチェーン店なのに、地元の人に愛される小さなお店のような温かさがあります。 画像は公式ホームページからお借…

雀のこと

縁側に雀が横たわっていました。 いつからそこにいたのか・・・、まったく気づきませんでした。 今回は大きな音はしなかったので、バードストライクではないような気がします。 雨風が強かったので、軒下に逃げて、そこで力が尽きたのかもしれません。 随分…

UNBUILTの建築 未完の夢幻

建築に興味をお持ちの方であれば、どこかでUNBUILT(アンビルト)という言葉を耳にされたことがあるかもしれません。 設計・構想されたものの、未だ建てられていない、建てられなかった建築。 古今東西、多くのUNBUILTの建築が図面やパース、模型などとして…

小声主義 「琥珀のまたたき」小川洋子

小さな頃から喉が弱く、あまり大きな声が出せないようでした。 喧噪の中では声が通りにくく、難儀します。 居酒屋のようなざわついた場所での会話は苦手で、可能であれば個室に移りたくなりますし、大人数の立食パーティーのようなところでも会話が成立せず…

小さな家のレコード  「あなた」小坂明子

はじめて買ったシングルレコードは、小坂明子さんの「あなた」でした。 作詞・作曲は小坂明子さん、編曲は宮川 泰さん。 発売は1973年の年末。買ったのは翌74年。 50年も経ってるんですね。 どれほど聴いたか・・・。 小さな頃、レーベルに描かれた芋虫がぐ…

謎データを発掘する「羞活」

「良い感じの空き地」を見つけると、頭の中で勝手に建築をつくり、それだけでは飽き足らず、図面とパースを描き、誰に見せることもなく、ハードディスクの奥深くにしまい込み、そして忘れる。 頼まれてもいないのに、勝手にロゴをデザインしたり商品企画をし…

薄氷のルーフトップ・コンサート

小学生の頃、はじめて買ったLPはビートルズの「LET IT BE」。 当時、自分のアルバムは一枚しかなかったので、こればかり聴いていました。 最初に見たものを親だと思ってしまうように、私にとっては「LET IT BE」がビートルズ。 その後さまざまな音源や映像で…

門司港とアルド・ロッシ

先日、太宰府天満宮にお参りしたので、そのまま足を延ばして門司港に行ってきました。 目的の一つはアルド・ロッシ設計の門司港ホテル。(現 プレミアホテル門司港) インテリアデザインは内田繁さんです。 アルド・ロッシは1931年生まれの、イタリアの建築…

受験なので太宰府天満宮へ

今年、娘が受験で、太宰府天満宮にお参りしたいというので行ってきました。 はやくも神頼みのようです。 旅行や仕事で随分あちこち行きましたが、何故か九州にはご縁がなく今回が初めての九州となりました。 とにかく、元気があって人が優しく、自然が豊かで…

緑の儘に

家を建てるために土地探しをしていた頃。 並木の綺麗な通りがあって、こんな所に住めたらいいなと思って売地を探していました。 ところがある日、その並木が一本残らず伐採されていました。 不動産屋さんに訊くと、落ち葉の掃除でみんな困っていたとのこと。…

紅白の生垣になるはずが・・・

生垣のトキワマンサクがピークのようです。 本当は紅白の縞模様になるようにしたつもりでした。 植込みの作業の時は、ベテランの植木屋さんに一本一本確認。 「うん、これは赤だね。」 「こっちは白だ。」 なんて、貫禄たっぷりに指示してもらって紅白交互に…