自宅の屋根は何の変哲も無い、ごく単純な寄棟です。
それでも設計には、大変なエネルギーを注ぎました。
構造と意匠、それから機能と雨仕舞。
日本は雨の国、そして日本建築は屋根の建築だと思っているので、設計の労力の半分は屋根の納まりのために費やしました。
地域の最大降水量を調べ、この屋根の面積でそれを受けた場合の樋の排水能力。
最大の風速を調べ、それを受け流せるデザイン。
(若干の欠点まで含めて)隅々まで把握しているので、雨風に対しては絶対的な安心感を持っています。
それでも、ここのところの豪雨続きで、少しだけ心がざわつきます。
キャンプ中に、突然の嵐に見舞われた夜を思い出すようです。
テントの生地一枚を隔てて外は暴風雨。
爆音に包まれてはいるものの守られているという、不安感と高揚感が入り混じった、あの妙な気分。
屋根は良いとして、近くを流れる2つの川が心配です。
一つはここ数年の間に何度かギリギリのところまで水位があがりました。
そんな時は、川のライブカメラを眺めながら、ひたすら避難のスタンバイ(家族は寝ています)です。
それが夜中だった場合、(なぜか大抵夜中の気がします)暇なのでギターを弾いたりしています。
アンプに繋いで弾いても家族は起きません。
雨の音の方がやかましいので・・・(笑)。
もはや雨の音を響かせるための共鳴装置と化しています。
AC/DCのHighway to Hell(なぜか夜中に弾きたくなります)を思い切り弾いても誰も起きません(笑)。
先日の豪雨の夜も、避難のスタンバイ中はやることがないので、以前作った音楽
にギターを重ねて録音したりしました。
天智天皇のうたは、端折った英訳をして、「音読さん」(音声読み上げソフト)に読み上げてもらいました。
豪雨の夜なので、それにちなんで雨のSEなど加えたりしたのですが、そもそも頭上で爆音が響いているので、もう何が何だか・・・。
雨があがって聴いてみると、バランスやら何やら随分おかしいのですが、「豪雨の爆音で耳が変になっていた夜」の思ひ出として、恐怖と恍惚がミックスした心象スケッチとして、保存しておこうと思います。