人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

建築

知らぬが仏か  小心設計者の悩み

ある大工さんがこんなことをおっしゃっていました。 「自分が建てた家には二度と近づきたくない。」 なんと薄情な・・・とお思いかもしれません。・・・でも 建築の現場では、どんなに注意深く施工していても、たくさんある工程の中ではミスをしたところ、納…

「絶対時感」と ランディ・ローズ "Dee"

「絶対時感」的なものはお持ちでしょうか。 辞書には載っていませんが、絶対音感の時間版のようなものとして、あっても良いような気がします。 究極に暇なとき、突然「ストップウォッチぴったり止め大会」が開催されることがありますよね。 あれに必要なスキ…

電気は電気として  火は火として

電気代高騰のニュースに触れるたび、生徒会のスローガンみたいに頭の中でぶつぶつ言います。 電気は電気として 火は火として 「電気には、電気にしかできない仕事を優先してもらう」ことが、エネルギー問題解決の糸口になるような気がするんです。 少し大げ…

ベテラン小学生のお仕事

ちょっと前のことなのですが、写真を整理していたら思い出したので。 庭を眺めていると、いつもよく見る「良い味を出しているベテラン小学生2人組」が下校中。 何やら、うちの庭と向かいの用水路の間を行ったり来たりしている模様です。 散った山茶花の花で…

70年なら一瞬の夢

子どもの頃から学校が苦手で(自分以外「親兄弟全員教師」の家でしたが)、組織というものに馴染めず、案の定、サラリーマン生活は10年もちませんでした。 30歳直前で辞表を出し、上司に居酒屋に呼び出され怒られましたが、その辞表は引っ込めませんでした。…

こんな雨の日に

今年はちょっと年明けから辛い日々です。 遠くに灯っていた道標が次々消えていきます。 覚悟していたとはいえ・・・。 世界で一番大好きな作曲家。 憧れのカッコいい大人。 Burt Bacharach。 akekurenote.hatenablog. www.youtube.com

消える壁  引き戸  [家と言葉]

引き戸 鴨居と敷居との溝にはめ込み、左右に引いて開けたてする戸。 やり戸。 やり戸 引き戸。 明鏡国語辞典 ひと頃、玄関を引き戸で設計したら、「サザエさんのうちみたいで嫌だ」って子供が泣いたという話をよく聞いたんですが、本当でしょうか。 確かに、…

「押し入れ」ない    [家と言葉]

押し入れ 日本間で、ふとんなどをおさめるために設けた作り付けの物入れの場所。 普通、中棚を設け、前面に襖を立てる。 三省堂 スーパー大辞林 いろんなものを「押し入れ」るからですね。 私の身の周りでは、あまり聞くことはないのですが、「押し込み」と…

「玄関」を初期化する  [家と言葉]

玄関 ①建物の主要な出入口。 ②禅寺で、方丈に入るための門。 [明鏡国語辞典] 「玄関」の語源は「玄妙なる道に入る関門」と言われていて、禅宗寺院の客殿の入口を武家屋敷に取り入れたのが始まりとされています。 そう考えると「玄関」って、かなり仰々しい響…

「観葉植物 お線香みたいなやつ」で検索・・・

とにかく植物の名前を覚えられなくて、忘れて調べなおすたびに感じる「新鮮な響き」・・・。 先日、ホームセンターの観葉植物のコーナーを見ていたら、何やらツンツンして可愛い感じのものがあるので、即家に連れて帰ってきました。(お金は払いました。) …

「天智天皇感」がゼロに・・・   [和歌に音を添えました]

百人一首 1番歌 天智天皇 (現代語訳) 秋の田の仮小屋にいると 屋根の苫の目が粗いので 番をしている私の袖は (あなたの来るのを待っている私の袖は) 露で濡れています (涙で濡れています) 人々に尊敬された天智天皇が農民の気持ちになって、稲を保管す…

通読成功率10%の名著  「森の生活」 HDソロー  [家と本]

1845年の夏、28歳のHDソローはウォールデン湖のほとりに小屋を建て、自然の中でシンプルな生活を始めました。 「森の生活」はその2年2か月の記録です。 初めてこの本を読んだのは25年位前のことで、以降10回位読んだのですが、1ページ目から最後のページまで…

誰かの思い出のすみっこに

週刊朝日に載っていた、林真理子さんと松任谷由実さんの対談がすごく心に残りました。 林 :いまに「ユーミン博物館」ができたときに、ユーミンのお洋服がダーッと並んで……。 松任谷:博物館はつくらない。 そういう3次元的なものは意味がない。 絶対なくな…

白くないミニマリズム  [家と言葉]

ミニマリズム[minimalism] 完成度を追求するために装飾的趣向をこらすのではなく、それらを必要最小限まで省略する表現スタイル。 1960年代に音楽・美術の分野で生まれ、ファッションにも導入された。 ポスト・モダンと相反する概念。 (ブリタニカ国際百科…

電気料金で時空の歪みが・・・ 

我が家は「パート電化」で、給湯はガス、暖房は灯油と、エネルギーの利用とリスクを分散しています。 ちょっと大袈裟な言い方ですね・・・。 普通にオール電化にしていないだけです(笑)。 それにしても、このご時世に、先月の電気代、3人家族世帯で3,700円…

この本と出会う前には戻れない・・・かも   「地球家族」  [家と本]

「申し訳ありませんが、家の中の物を全部、家の前に出して写真を撮らせてください」 地球のリアルな今を知る。世界の平均的家族の持ち物と暮らしレポート。 戦火のサラエボから、モノのあふれた日本まで、世界30ヵ国、その国での「中流」と呼ばれる家族の持…

プチプチで立水栓の応急断熱  [気は心]

我が家はかなり温暖な地にあるので、寒さについては油断していて、外の立水栓は「水道管むき出し」みたいな、オシャレ立水栓(笑)を使っています。 今までは、それでどうということはなかったのですが、ここのところの寒波で、「水道管の凍結に注意」のよう…

部屋を漂う音の粒子  Ambient 1   Brian Eno [家と言葉と音楽]

アンビエント[ambient] 周囲の。大気の。環境の。 アンビエントミュージック[ambient music] 1970年代末にブライアン=イーノによって始められた環境音楽。人間を取り巻く外部環境の独特な雰囲気を表現するもの。 (三省堂 スーパー大辞林3.0) アンビエント…

さよなら 座敷わらし  「ざしき童子(ぼっこ)のはなし」宮沢賢治 [家と本]

ぼくらの方の、ざしき童子(ぼっこ)のはなしです。 あかるいひるま、みんなが山へはたらきに出て、こどもがふたり、庭であそんでおりました。 家にだれもおりませんでしたから、そこらはしんとしています。 ところが家の、どこかのざしきで、ざわっざわっと…

トキワマンサクの救出と千億の命

トキワマンサクの子ども達が、いたるところで育っています。 特に生垣から落ちた種がたくさん育って側溝のあたりでニョキニョキ出てくるので、時々救出に向かいます。 ワンちゃんたちの「お小水」のターゲットになっている向きもありますので(笑)。 うちの…

ニューヨークの逆タワマン  「天窓のある部屋」 O・ヘンリ   [家と本]

20世紀初頭のニューヨーク。 貧しいタイピスト、ミス・リースンが部屋を探しにきます。 大家のパーカー夫人は、まず一階の二間続きの客間を見せますが、貧しい職業婦人であるミス・リースンはその家賃を払えません。 「もっと上の、もっと安い部屋をみせてく…

A House Is Not A Home  /  Burt Bacharach    [家と音楽]

ハル・デヴィッド / バート・バカラックの名曲ですね。 A chair is still a chairEven when there's no one sitting thereBut a chair is not a houseAnd a house is not a homeWhen there's no one there to hold you tight,And no one there you can kiss …

”友情と愛情の危ういバランス” それをおおらかに包む家  「あ・うん」(向田邦子)  [家と本]

つましい月給暮らしの水田仙吉と軍需景気で羽振りのいい中小企業の社長門倉修造との間の友情は、まるで神社の鳥居に並んだ一対の狛犬あ、うんのように親密なものであった。太平洋戦争をひかえた世相を背景に男の熱い友情と親友の妻への密かな思慕が織りなす…

縄文の家・平安の家 中学生の歴史観が雑すぎて・・・

娘の仲の良い友達は、時々我が家のことを「縄文」とか「平安」とか呼ぶそうです・・・。 「古風な感じがするから」だそうです。 もちろん冗談で、娘もそれを楽しんでいるようですが。 それにしても、「歴史観」が雑すぎませんか(笑)。 おそらく明治あたり…

雨で木建が潤って   [家と言葉]

木建(もくだて)単なる「木製建具」の略です・・・。 庭がカッサカサになっていたので、久しぶりの雨でほっとしました。 木々も潤って喜んでいるようです。 この湿度で、玄関の建具も一時的に息を吹き返して、元気になりました。 というのも、我が家の玄関…

ポーチは深く   [家と言葉]

ポーチ[porch]西洋風の建築で、玄関先に屋根を張り出した所。車寄せ。[旺文社 標準国語辞典] 可能であれば、ある程度の奥行きが欲しい部分です。 玄関がドアの場合、日本では外開きが多いので、「いらっしゃい!」と元気よくドアを開けられたときに、頭を強…

アプローチを、なんとか、頑張って、少しでも、長くしたい・・・  [家と言葉]

アプローチ[approach]道路・門・から建物・玄関口までの通路または導入室間。[三省堂 スーパー大辞林] 門をくぐり、木々を眺めながら曲がりくねった小道をしばらく歩くと、ようやく家の姿が現れ・・・・。 敷地に余裕があればこんな設計をしてみたいと思いま…

家づくりは焦らず、そして楽しく

先輩の建築家からいただいた年賀状に、このように書かれていました。 「久しぶりに木造やりましたが、大変なことになってますね。」 本当に大変なことになっています。 国際的な要因については、もはやどうすることもできません。 それから、次々やってくる…

冬の庭は寂しいけれど  それとベテラン小学生の件

落葉樹はとうとう全部葉を落とし、一面を覆っていたリッピアも茶色になって、ちょっと寂しい冬の庭になりました。 それでも葉が生い茂っていた頃と違い、明るい庭になるので好きな季節ではあります。 私のバイブル、カレル・チャペック先生の「園芸家12か月…

ルイスポールセン トルボーとラウンドテーブル   光の求心力

ダイニングに使う照明はルイスポールセン一択。 最初にこのトルボーありきで、これにあうテーブルを探しました。 テーブルもまた、ラウンドテーブル一択。 ラウンドテーブルはインテリアのレイアウト上、なかなか難しいのですが、トルボーと組み合わせた時の…