人と栖と

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「玄関」を初期化する  [家と言葉]

玄関 ①建物の主要な出入口。
   ②禅寺で、方丈に入るための門。
          [明鏡国語辞典]

 

「玄関」の語源は「妙なる道に入る門」と言われていて、禅宗寺院の客殿の入口を武家屋敷に取り入れたのが始まりとされています。

そう考えると「玄関」って、かなり仰々しい響きがしますね。  

「格式」とか「身分の上下」のような、封建主義の香りもまとわりついています。

 

他の言い方は無かったかなって随分考えてみたんですが、結局は「入口」しか思いつきませんでした(笑)。

「格式」とか「身分」みたいな話はこの際考えないことにして・・・、やっぱり「玄関」が一番なじみがありますかね。


我が家の場合、玄関に至るアプローチやポーチは、かなり意味を持たせて設計しましたが、玄関そのものについては、封建主義の残滓を振り払うためにも、荒っぽく、「ただの入口じゃねえか、こんなもん」(笑)くらいの感じで向き合いました。

 

大げさに言えば、玄関の「民主化」ですね。

 

「初めての人は玄関で、親しくなるにつれ奥へ」というような空間のヒエラルキーを壊し、意味を何も持たせず、フラットに初期化して、「入っていきなりドン」という感じにデザインしました。

初めての来客は「ひく」パターンですね(笑)。

最初はここに、こたつを置いて、「お客さんが来た時に、家族がこたつでミカンを食べている」というシュールな図を描いていたのですが、さすがにそれは・・・、
ということで、今のアトリエになっています。