人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

イツモシヅカニワラッテヰル

年老いた両親は日ごと子どもにかえっていきます。

毎週、娘の顔を見せに行きますが、ただいつも静かに笑って、こちらの体の心配なんかしています。

もとは、二人ともなかなか厳しい人で、私とは衝突続きでした。

「二度と敷居をまたぐな」とか「葬式にも来るな」とか、何度も言われましたが、
今は「いらっしゃい」なんて言って、ニコニコしています。

 

自分の経験から、こういった状態になったとき、さらに厳しい性格になることを覚悟していたのですが、拍子抜けするほど穏やかです。

 

父は元数学の教師らしく娘の数学の心配ばかりしていて、タンジェントがどうとかずっと言っています。

整理整頓好きで几帳面な母は、カレンダーの数字が綺麗に順番に並んでいることをしきりに感心したり、先月と似ていてややこしいなどと困惑していたりします。

長女と長男を立て続けに失ったり、苦労続きだったから、この方が幸せなのかな、よくできてるな、なんて思ったりします。

恩寵。

こんな日々が続けばいいなと思います。

 

自分も、何かと戦ったりするのは十分やったので、もう勘弁してもらって、これからは「いつも静かに笑っている人」になりたい。

そう思う、年の初めです。

 

宮沢賢治の「雨ニモマケズ」。

若い頃にはピンとこなかったけれど、今は心に染みます。

私もサウイフモノになりたい。

 

東北弁ネイティブの奥様に「雨ニモマケズ」を朗読してもらい、先日作った曲をリサイクルして、うっすらかぶせました。

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