人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

スタンドにて

また高校野球(娘が通っている高校)の応援に行ってきました。

結果から言うと、残念ながら準決勝で敗退。

3-2。

神経を抜いたはずの虫歯が何故か痛み出すほどの、痺れる試合でした。

すばらしいプレーをみせてくれた選手の皆さんと、こんな機会を与えてくれた娘に感謝です。

 

前回は保護者の多い席にいたのですが、今回はベテランの先輩方の多い席でした。

周りには、おそらく70代と思われるその高校のOBの皆様が多くいらっしゃいました。

 

そこで私はいくつもの尊いものを見ました。

手作りの応援グッズを使い、汗をふきふき選手たちに温かい声をかけ続ける方。

おそらく穴のあくほど読んだであろう、ボロボロになった選手名鑑とグランドを交互に眺めている方。名鑑には無数の付箋が貼ってありました。

ノートにトーナメント表や新聞記事をスクラップし、すべての試合のデータを鉛筆で克明に記録している方。スタメンの発表時にも一人ひとり選手の名前を書いていました。試合中もまるでスコアラーのよう。

和紙にその高校の校歌を筆でしたため、それを試合中何度も愛でるように眺めている方。もちろん校歌は一緒に歌っていました。

 

これほど愛されているこの高校と野球部はどれだけ幸せなんだろう。

思いがけず、末席に加わらせていただいた自分も、その幸せの輪の一部になれた気がします。

 

試合後、帰り支度をしていると、「和紙に校歌」の先輩に声をかけられました。

私、昔から「全然知らない人に声をかけられて、そのまま話し込む」という事が多いのです。

先輩とも、試合運び、監督の采配、対戦相手のすばらしさ、野球部の地域への開き方など、大方のお客さんがはける頃まで、ずいぶん話し込んで、また来年、なんて言ってお別れしました。

試合には敗れてしまって残念だったけど、何だか幸せな時間でした。

 

甲子園は来年(もしくは春)までおあずけ。

この夏は、大学のオープンキャンパスやなんかで忙しい。

NEXT、次だ。

切り替えて前に進もう。