人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

ふりゆくものは わが身  帰り道のうた

夏の疲れや何かでぼんやりしており、図面も描かずに、いつも読んでいる百人一首の本を眺めたりしていました。

 

百首のうたは大きく、「月のうた」や「春夏秋冬のうた」、「恋のうた」などと分類できますが、「花のうた」もいくつかありますね。

夏から秋に向かうこの時期に、全く季節外れではありますが・・・。

私は、9番歌である小野小町

 

花の色は

移りにけりな

いたづらに

わが身世にふる

ながめせし間に

 

このうたが大好きなのですが、ずっと後ろの方(96番歌)、入道前太政大臣の名歌、「花さそふ」をうっかり忘れていました。

 

花さそふ

嵐の庭の

雪ならで

ふりゆくものは

わが身なりけり

 

小野小町のうたと同様、哀しみを伴った述懐のうたで、「降る」「経る、古る」を掛けているのも似ていますね。

 

【現代語訳】

桜の花を誘うように散らす

嵐の庭には

花が雪のように降るけれど

それは雪ではなく

きっと古(ふ)りゆく私自身

 

超訳英語】(掛詞を訳すのをあっさり断念して、主旨のみ意訳しました。)

Storms scatter cherry blossoms.

As if inviting.

It is like snow.

But really,

 it could be me.

 

まだ来し方を振り返るような年齢でもないんでしょうが、それでも、このうたには何かぐっと来るものがありました。

きっと、疲れているんです・・・。

 

いつものように音楽をつけてみたのですが、それこそ疲れているからか、それともこのうたの心象風景を眺めすぎたのか、少しばかり脱力した音になりました。

楽器の数も音数も絞りました

 

うたの内容とは少し離れるのですが、心に浮かんでいたイメージは何故か、「帰り道」のようなものでした。

それと、これまた何故か「旅先から届いた寅さんの手紙を読むさくらさんの声」が頭から離れなくなってしまい、結果そのサントラのようでもあります。

 

末筆ながら、

あなた様の幸せを

遠い他国の空から

お祈りしております。 

 

車 寅次郎 拝

 

良いですねえ。

エンディング感が漂っています・・・。

 

っていうか自分、大丈夫か!

和歌から離れてしまってゐるぢゃないか。

まあ、いいか。

きっと、夏の疲れです。

 

それでも、いつものように朗読は奥様にお願いしました。

英語部分は「音読さん」の読み上げです。

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