人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

鈍っちまった悲しみに

(お金をとる)放送局最強のキラーコンテンツは、夏休み子ども科学電話相談ですね。

www.nhk.jp

編成が変わって、今は毎週日曜日にも放送されていますが、夏休み版の方が質問のキレが良い気がします。

何故でしょうか。

夏の解放感からくるものなのではないか、と私は踏んでいるのですが。


小さな子どもの素朴な質問に対して、先生の本気の回答に力が入りすぎてしまい、専門用語を連発しているうちに子どもからのリアクションが一切なくなって(たぶんウトウトしている)しまう回。

子どもの鼻息がずっとゴーゴーいっていて、内容がよく聞こえない回。

隣で小さい弟ちゃんが大騒ぎしていて大変なことになってしまう回。

 

名質問、名回答、今風に言うと「神回」は枚挙に暇がありませんが、私の中のベストは確か2018年の小学一年生の女の子からの質問。

覚えておいでの方もいらっしゃるかもしれません。

 

「世界は朝から始まったんですか?」

 

なんて詩的で美しい問いでしょう。

どんな心を持っていたらこのような言葉を持てるのか。

 

あの日たまたまそれを聴いていて、号泣したことを覚えています。

それで、回答の方をすっかり忘れてしまいました(笑)。

今でもあの声を思い出すだけで涙が流れてきます。

 

その感性の瑞々しさと、きっと、もはやそれを失い、あったとしても鈍ってしまった自分への悲しみがないまぜになった涙ですね。

 

あの小1の女の子のような感性を私(50代男性 笑)が再び持てるのか。

難しいけれど、諦めないでいたいなとは思います。

その時には、それこそ、世界が違って見えるかな。