スプーンを持つのも、
お絵かきするのも、
ボールを投げるのも、
打つのも、
蹴るのも左。
小さな娘のそんな姿を見て心が躍りました。
私は右投げ右打ち。
(ある調査※によるとメジャーリーガーの63%が右投げ右打ち)
娘は左投げ左打ち。
(同調査では16%が左投げ左打ち)
正真正銘の、憧れの左利き。
矯正するなんてもったいない。
野球選手にはならないだろうけど。
少し困ったのは、小学校に上がって書道を習い始めた頃。
左で書くか右で書くか。
結局、先生の指導に従って本来の姿、
右で筆を持つことになりました。
並大抵の苦労ではなかったようです。
始めた頃は納得がいかなくて、よく泣いていました。
少し前に、その書道で何やら立派な賞をいただきました。
賞そのものについては素人でよくわかりません。
ただ、親バカではあるけれど驚くのは、
利き手ではない右手で書いた作品が、
一万点ほどの中から選んでもらえたということ。
後日、受賞のあいさつ文を提出することになった際に、
「利き手でなかったので苦労しました」みたいなことを書いてみたら~、
なんて私は言ったのですが、それは一切無視で(笑)、
娘は周囲への感謝の言葉だけサラッと書いて出してしまいました。
クールすぎだろ、
と思いつつ、自分のお猪口並みの器の小ささを思い知ったのでした。
左利きの人が持つ能力。
右脳や左脳や、
そんな脳科学的な観点から語られることが多いような気がするけれど、
左利きの強みは、そんなクールな適応力なのではないかと私は思っています。
ユニバーサルデザインが提唱されて久しく、
建築・インテリアの世界でもそれは大前提になっていますが、
それでも、まだまだ社会は右利きに最適化されたまま。
そんな社会の中で不便を感じながらも、
サラッと(本当は努力して)それに適応していく力。
そこに強さがあるのではないかと、娘を見ていて思います。
キリンジの名曲、ポップコーン。
「左利きの風来坊」はこの曲の歌詞に出てきます。
このフレーズ、何だか好きなのです。
目の前の困難をなぎ倒して進む感じが、娘のようです。
野茂英雄さんがモデルとも言われています。
野茂さんは右投げですが。
でも、この曲のイメージにピッタリです。
※The Success of Sinister Right-Handers in Baseball