人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

気があること まだ知られたくない  平 兼盛

百人一首関連の逸話でよく紹介されるものに、

天徳4年(960年)、村上天皇内裏歌合(だいりうたあわせ)のエピソードがあります。


平 兼盛(たいらのかねもり)「忍ぶれど・・・」

壬生忠見(みぶのただみ)「恋すてふ・・・」

この2首が競ったときのものです。

お題は「忍ぶ恋」

 

百人一首40番歌

【現代語訳】

隠しているつもりだったのに

顔に出てしまっていた

私の恋

恋をしているの?

人に問われるほど


百人一首41番歌

【現代語訳】

私が恋をしている

そんな噂が

もうたってしまった

人知れず

そっと想い始めたのに

 

甲乙つけがたいこの2首を前に判者の藤原実頼も判定がつけられず、

引き分けにしようとしたそうです。

 

ただ、村上天皇の方をチラっと伺うと、

小声で「忍ぶれど・・・」とつぶやいていたので、

平 兼盛の勝と決まったといいます。

 

ほんとかいな、と思いますが、

そういうことになっています。

 

負けた壬生忠見の方はショックで食事も喉を通らず、

亡くなってしまったと言われていますが、

こちらは事実ではないようです。

 

それはさておき、本当にどちらのうたも、

初々しさ瑞々しさの溢れた名歌だと思います。

 

百人一首の選者、藤原定家

両歌を40番歌、41番歌と並べていますね。

 

松田聖子さんの名曲「P・R・E・S・E・N・T」にこんな歌詞があります。

気があること まだ知られたくない

 

熱い気持 読まれそうでこわい

 

 松田聖子 「P・R・E・S・E・N・T」 より(作詞 松本隆 作曲 来生たかお

10世紀も21世紀も変わりませんね。

時空を超えていますね。

 

百人一首の和歌に音楽をつけるという謎作業。

41番歌の方は以前つくりましたので、

今回は40番歌の方を。

ひとりで酔狂な歌合をしました。

 

密かに恋をしているのが、つい顔に出てしまった

「うれしはずかし」の気持ちを音で表現してみようと取り組んでみました。

 

そういう季節はとうに過ぎた身(50代男性)ではありますが、

頑張ってそんな初々しい気持ちになって音をつくってみました。

 

制作自体は一日でやっつけてしまったのですが、

ピアノの練習に一週間かけました。

 

弾けもしないのに、ピアノ主体のアレンジにするからいけないのですが・・・。

 

それから、少しマニアックになりますが、

終盤ニッキー・ホプキンス※風のピアノを急に入れたくなってしまったので、

その10秒間のために2日間ほど猛練習しました。

※名盤のセッションに数多く参加しているピアノ職人

 

己(建築士です)は図面も描かずに何をやってるんだとも思いますが、

あまり深く考えないようにしています(笑)。

 

朗読は奥様にお願いしました。

英語部分は「音読さん」の読み上げです。

youtu.be

以前つくった41番歌です。

youtu.be

いままでの謎作業の再生リストです。

youtube.com