月見れば
千々に物こそ
悲しけれ
わが身ひとつの
秋にはあらねど
百人一首の中で私が最も美しいと感じるうたです。
板野博行さんの「眠れないほどおもしろい百人一首」(三笠書房)という本によりますと、白楽天のこの詩を翻案したものと言われているようです。
燕子楼中霜月夜
秋来只為一人長
白楽天の詩では「秋の夜はただ私一人のためのもの」みたいになっているのに対して、大江千里は「私一人のための秋ではないけれど」と奥ゆかしく詠んでいます。
私も秋の夜、月の美しい空をながめながら、大江千里の気持ちを想像したうえで、寒かったので一回寝て(笑)、半日ぐらいでトラックをつくりました。
アレンジの中で、和歌でいう「本歌取り」のようなことをしてみました。
随分と質素なシステムで音楽をつくっています。
これも朗読は奥様にお願いしました。