人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

もうすっかり冬ですが、美しい秋の名歌を

月見れば
千々に物こそ
悲しけれ
わが身ひとつの
秋にはあらねど

   大江千里

百人一首の中で私が最も美しいと感じるうたです。

 

板野博行さんの「眠れないほどおもしろい百人一首」(三笠書房)という本によりますと、白楽天のこの詩を翻案したものと言われているようです。

燕子楼中霜月夜

秋来只為一人長

楽天の詩では「秋の夜はただ私一人のためのもの」みたいになっているのに対して、大江千里は「私一人のための秋ではないけれど」と奥ゆかしく詠んでいます。

 

私も秋の夜、月の美しい空をながめながら、大江千里の気持ちを想像したうえで、寒かったので一回寝て(笑)、半日ぐらいでトラックをつくりました。
アレンジの中で、和歌でいう「本歌取り」のようなことをしてみました。

youtu.be

随分と質素なシステムで音楽をつくっています。

これも朗読は奥様にお願いしました。