人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

文芸

小さな家のレコード  「あなた」小坂明子

はじめて買ったシングルレコードは、小坂明子さんの「あなた」でした。 作詞・作曲は小坂明子さん、編曲は宮川 泰さん。 発売は1973年の年末。買ったのは翌74年。 50年も経ってるんですね。 どれほど聴いたか・・・。 小さな頃、レーベルに描かれた芋虫がぐ…

謎データを発掘する「羞活」

「良い感じの空き地」を見つけると、頭の中で勝手に建築をつくり、それだけでは飽き足らず、図面とパースを描き、誰に見せることもなく、ハードディスクの奥深くにしまい込み、そして忘れる。 頼まれてもいないのに、勝手にロゴをデザインしたり商品企画をし…

薄氷のルーフトップ・コンサート

小学生の頃、はじめて買ったLPはビートルズの「LET IT BE」。 当時、自分のアルバムは一枚しかなかったので、こればかり聴いていました。 最初に見たものを親だと思ってしまうように、私にとっては「LET IT BE」がビートルズ。 その後さまざまな音源や映像で…

門司港とアルド・ロッシ

先日、太宰府天満宮にお参りしたので、そのまま足を延ばして門司港に行ってきました。 目的の一つはアルド・ロッシ設計の門司港ホテル。(現 プレミアホテル門司港) インテリアデザインは内田繁さんです。 アルド・ロッシは1931年生まれの、イタリアの建築…

受験なので太宰府天満宮へ

今年、娘が受験で、太宰府天満宮にお参りしたいというので行ってきました。 はやくも神頼みのようです。 旅行や仕事で随分あちこち行きましたが、何故か九州にはご縁がなく今回が初めての九州となりました。 とにかく、元気があって人が優しく、自然が豊かで…

遅れてきた「ひなまつり」とユーフォリア

この辺りは田舎なので月遅れのひなまつりです。 どうしてもという訳でもないので、何度か「都会風」に(笑)3月のひなまつりをやったことがあるのですが、しっくりこなくて、結局戻しました。 梅や桃のお祭りというより、春が全力でやってきた桜のひなまつり…

小さな家の本

我が家は24坪の小さな家です。 もとより大きな家を建てる「元手」も無いのですが、建築の勉強を始めた頃に出会ったこの本の影響も大きいようです。 「小さな森の家」。 「吉村順三建築展」に行った帰りに買ったものです。 本にはチラシと一緒に、その日上野…

咲いたら咲いたで 散ったら散ったで

庭のトキワマンサクが賑やかになってきました。 うちはトキワマンサクでお花見です。 秋にも少し咲くのですが、春の華やかさにはかないません。 一日でも長く楽しめたらいいなと思います。 夏休みの初日に、8月31日のことを考えて寂しくなってしまうタイプな…

刹那の蝶と一分間の白昼夢

この時期になると、娘の幼稚園最後の日を思い出します。 その幼稚園では、卒園式が終わっても「預かり保育」の期間が3月31日までありました。 「涙の卒園式」後にまた会うのは、何だか気まずくないのかなとも思ったのですが・・・。 (送別会で盛大に送り出…

母校でもない学校の校歌を聴いて泣く・・・

春の甲子園が始まりましたね。 皆さんはどの学校の校歌がお好きですか。 新設校ではポップス調のものも増えてきましたね。 私はどちらかというと昔ながらのものが好みです。 名曲もたくさんありますね。 なかでも最も愛するのは、 静岡県立浜松商業高等学校 …

17歳の歳時記  祖母の中の少女

ずっと大切に保管しているものがあります。 表紙に1930と書かれた黒い手帳。 30年以上前に他界した祖母のものです。 祖母が17歳の少女だった頃の、一年間の日記が綴られています。 満州事変の前年、関東軍が暴走を始めていた頃。 直前にニューヨークの株式市…

最後の〇〇に弱すぎて・・・

その症状を何と呼ぶのかわからないのですが、「これが最後かもしれない」と思ってしまうことが多いようです。 幸い今のところ「子育て」に纏わることに限定されていますが。 最後の授乳。 最後の離乳食。 最後のおむつ替え。 それから、一緒に入る最後のお風…

英語で詠って ~「音読さん」を使ってみました

あてもなく英語を勉強しています。 ただの趣味のようです。 将来何かしらの原因で何処かしらに脱出する時は役にたつかな。 考えてみたら、英検とかTOEICのようなものを受けたことがありませんでした。 受検が目標になって良いのかなとも思いますが、自分の実…

「さて、久しぶりにお得をみすみす逃してみるかな。」

「伝染るんです。」をご記憶でしょうか。1989年から1994年まで「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に連載された、4コマの「不条理ギャグ漫画」ですね。 「伝染るんです。①」 吉田戦車 小学館 ’75年は・・・というこの帯や、落丁のような装丁も話題に…

縁側の風景 「満願」太宰 治  [家と本]

我が家は南と西にぐるっと縁側を廻しています。 外壁より外の軒下空間にある縁側なので「濡れ縁」ですね。 ちょっとだけ、ミース・ファン・デル・ローエのファーンズワース邸を意識してデザインしたのですが、誰も言ってくれないので自分で言いました(笑)…

「ぼっち・ざ・ろっく!」 うっかり「お父さん目線」でみていました

昨年の秋アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」。 うちにはテレビが無いので、いくつかの配信の機会に何度もみて、感動、というより、すべてのエピソードで2~3回軽く泣いていました・・・(笑)。 私もそうですが、ギターを弾く方やバンドを経験したことのある方…

春を感じたら  ~優しいグルーブ”Breezin”

ジョージ・ベンソン の”Breezin”という曲をご存じでしょうか。 同名アルバム”Breezin”は、1976年、ビルボード誌のポップチャート・ジャズチャート・R&Bチャートで、いずれも全米首位に立った大ヒット作なので、耳にされたこともあるのではないかと思います…

「絶対時感」と ランディ・ローズ "Dee"

「絶対時感」的なものはお持ちでしょうか。 辞書には載っていませんが、絶対音感の時間版のようなものとして、あっても良いような気がします。 究極に暇なとき、突然「ストップウォッチぴったり止め大会」が開催されることがありますよね。 あれに必要なスキ…

70年なら一瞬の夢

子どもの頃から学校が苦手で(自分以外「親兄弟全員教師」の家でしたが)、組織というものに馴染めず、案の定、サラリーマン生活は10年もちませんでした。 30歳直前で辞表を出し、上司に居酒屋に呼び出され怒られましたが、その辞表は引っ込めませんでした。…

こんな雨の日に

今年はちょっと年明けから辛い日々です。 遠くに灯っていた道標が次々消えていきます。 覚悟していたとはいえ・・・。 世界で一番大好きな作曲家。 憧れのカッコいい大人。 Burt Bacharach。 akekurenote.hatenablog. www.youtube.com

天女を雲でとおせんぼ  「天つ風」 僧正遍昭

百人一首 12番歌 「天つ風」 僧正遍昭 [現代語訳] 天の風よ 天女たちが行き交う雲の通い路を 吹き閉じておくれ 乙女のその美しい姿を もう少しここにとどめておきたいから 作者は小野小町との百夜通いのエピソードがある僧正遍昭(そうじょうへんじょう)…

「天智天皇感」がゼロに・・・   [和歌に音を添えました]

百人一首 1番歌 天智天皇 (現代語訳) 秋の田の仮小屋にいると 屋根の苫の目が粗いので 番をしている私の袖は (あなたの来るのを待っている私の袖は) 露で濡れています (涙で濡れています) 人々に尊敬された天智天皇が農民の気持ちになって、稲を保管す…

通読成功率10%の名著  「森の生活」 HDソロー  [家と本]

1845年の夏、28歳のHDソローはウォールデン湖のほとりに小屋を建て、自然の中でシンプルな生活を始めました。 「森の生活」はその2年2か月の記録です。 初めてこの本を読んだのは25年位前のことで、以降10回位読んだのですが、1ページ目から最後のページまで…

誰かの思い出のすみっこに

週刊朝日に載っていた、林真理子さんと松任谷由実さんの対談がすごく心に残りました。 林 :いまに「ユーミン博物館」ができたときに、ユーミンのお洋服がダーッと並んで……。 松任谷:博物館はつくらない。 そういう3次元的なものは意味がない。 絶対なくな…

この本と出会う前には戻れない・・・かも   「地球家族」  [家と本]

「申し訳ありませんが、家の中の物を全部、家の前に出して写真を撮らせてください」 地球のリアルな今を知る。世界の平均的家族の持ち物と暮らしレポート。 戦火のサラエボから、モノのあふれた日本まで、世界30ヵ国、その国での「中流」と呼ばれる家族の持…

さよなら 座敷わらし  「ざしき童子(ぼっこ)のはなし」宮沢賢治 [家と本]

ぼくらの方の、ざしき童子(ぼっこ)のはなしです。 あかるいひるま、みんなが山へはたらきに出て、こどもがふたり、庭であそんでおりました。 家にだれもおりませんでしたから、そこらはしんとしています。 ところが家の、どこかのざしきで、ざわっざわっと…

トキワマンサクの救出と千億の命

トキワマンサクの子ども達が、いたるところで育っています。 特に生垣から落ちた種がたくさん育って側溝のあたりでニョキニョキ出てくるので、時々救出に向かいます。 ワンちゃんたちの「お小水」のターゲットになっている向きもありますので(笑)。 うちの…

ニューヨークの逆タワマン  「天窓のある部屋」 O・ヘンリ   [家と本]

20世紀初頭のニューヨーク。 貧しいタイピスト、ミス・リースンが部屋を探しにきます。 大家のパーカー夫人は、まず一階の二間続きの客間を見せますが、貧しい職業婦人であるミス・リースンはその家賃を払えません。 「もっと上の、もっと安い部屋をみせてく…

A House Is Not A Home  /  Burt Bacharach    [家と音楽]

ハル・デヴィッド / バート・バカラックの名曲ですね。 A chair is still a chairEven when there's no one sitting thereBut a chair is not a houseAnd a house is not a homeWhen there's no one there to hold you tight,And no one there you can kiss …

”友情と愛情の危ういバランス” それをおおらかに包む家  「あ・うん」(向田邦子)  [家と本]

つましい月給暮らしの水田仙吉と軍需景気で羽振りのいい中小企業の社長門倉修造との間の友情は、まるで神社の鳥居に並んだ一対の狛犬あ、うんのように親密なものであった。太平洋戦争をひかえた世相を背景に男の熱い友情と親友の妻への密かな思慕が織りなす…