人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

文芸

宮沢賢治の世界で暮らしたい 小さな家の由来記 4

10代の頃から宮沢賢治の作品に親しんできました。 本だけでなく新潮社の朗読カセットをテープがヨレヨレになるまで聴いたり、アニメ映画の「銀河鉄道の夜」のビデオを50回くらい観たりして・・・。 動物や森の樹々と会話のできる世界がファンタジーとは思え…

「どう生きるか」と言われたけれど

先日、珍しく家族3人でシネコンに行きました。 私は映画や何かを、人と一緒に観るのが苦手です。 みんなでドラマや映画、特にCMを黙って見ている光景に底知れぬ恐怖を覚えてしまうのです。 ガヤガヤとツッコミを入れながらだったらいいんですけど。 集団視聴…

月と六ペンスと建築 小さな家の由来記 3

折り返し地点を過ぎると、「残り時間」というものを否応なく意識してしまうものですが、若い時分は時間が無限にあるように感じたのと、生来のんびりしているのもあって、随分と遠回りなことを平気でしてきました。 福島県三春町に家を建てる計画は、退職のタ…

土星にやさしく

8月は少し苦手です。 黄色いあいつがやってくるから。 暑さのせいもあるけれど、正しさと感動のスコールのようなものにあてられて、いつも少し体調を崩してしまいます。 己の不埒を思い知らされるんですよね。 日頃の行いに自信が持てなくなるというか。 ザ…

小さな家の由来記 0

建築ブログだったのでした。 建築、主に住宅建築について何か参考になるようなことでも書いて、少しでも人様のお役に立ちたいなどと殊勝なことを考えブログを開設したのですが、ただただ人様のブログを読んで「自分の役にたっている」というのが、実際の有様…

うなぎが降る

子どもの頃は、よくうなぎが空から降ってきました。 うなぎの養殖池(養鰻池)からカラスがそれを盗み、盗んだはいいものの、ヌルヌルしているし、クネクネ動くし、それでポトリと落とすのです。 当たり前のように、そこかしこに落ちていました。 一面に養鰻…

子どもから「子ども時代」を奪うということは

英語の勉強も兼ねて繰り返し視ている映像があります。 1993年、グラミー賞授賞式でのマイケル・ジャクソンのスピーチです。 (どなたかが字幕をつけてくれたものがありました。) www.youtube.com そしてこのスピーチは、私にとってもう一つの「子どもの権利…

ちはやぶる 燃ゆるおもひ

百人一首 17番歌 ちはやぶる 神代も聞かず 龍田川 からくれなゐに 水くくるとは 在原業平朝臣 古今集 【現代語訳】 不思議な神々の時代でも 聞いたことがないですよ 龍田川の水を 紅く括り染めにしてしまうなんて 清和天皇の皇后高子(たかいこ)の描いた、…

忘れじの  Will You Love Me Tomorrow

百人一首 54番歌 忘れじの 行く末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな 新古今集 儀同三司母(ぎどうさんしのはは) 儀同三司母は藤原道隆(みちたか)の奥様。 伊周(これちか)、定子(ていし)のお母様ですね。 (儀同三司は伊周の役職) 名家に…

ながらへば 【おもひで補正】

百人一首 84番歌 ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき 新古今集 藤原清輔朝臣(ふじわらのきよすけあそん) 【現代語訳】 もし生きながらえたら 今を懐かしく思うかもね つらいと思った昔も 今は恋しいんだから 【適当英訳】(…

こひすてふ 千年のSilly Love Song

百人一首 41番歌 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか 壬生忠見(みぶのただみ) (拾遺集) 【現代語訳】 恋をしている そんな私の噂が もう立ってしまった 誰にも知られないように そっと想い始めたのに 【適当英訳】(たぶん間…

勝負の夏

梅雨明けしたかのような空がひろがっています。 セミも鳴き始めました。 山下達郎さん(微妙な立場に追い込まれていますが・・・)のSPARKLEを弾いて景気をつけています。 SPARKLE 永遠の名曲ですね。 長年、ギターのカッティングの練習曲にしています。 カ…

夏の夜は  ふかやぶ先輩の話

百人一首 36番歌 夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月やどるらむ (古今集) 作者は清原深養父(きよはらのふかやぶ)。 名前が渋くてお気に入りです。 清少納言のひいおじいさんですね。 枕草子初段の 夏は夜 月の頃はさらなり 夏の夜と月…

ルーレットがまわるように

兄が19,姉が17,私が14。 大学進学のため兄が上京する直前、誰が言い出すでもなく兄弟3人で人生ゲームを始めました。 小さな頃はよくやっていたのですが、それぞれ受験やら何やらで、本当に久しぶりでした。 ルーレットをグルグルと回しながら、こう思った…

たたえよ 土を

娘(万年反抗期)が合唱コンクールで歌う曲の候補をあれこれ聴き比べています。 学校が10曲位の候補を用意して、その中からそれぞれのクラスで選ぶようです。 娘はだいたいピアノをやらされるので、ピアノが弾きやすいかどうかが重要です。 昔はクラスに何人…

言葉を歪めるものは

「あなたのマイナンバーは」などと言われると、「いやユアナンバーだろ!」と即座に頭の中でツッコんでしまう、面倒な性分です(笑)。 ただ名前が、ある程度そのものを定義してしまうように、使う言葉を歪めているとその集合体である社会も歪んでくるような…

雨と夜とピアノと

また随分大げさな表題をつけたものですが、何のことはありません。いつものように家族が寝静まった夜中、薄暗い部屋でヘッドフォンをしてピアノの練習をしているだけです。 やや不気味な光景ではあります。 練習している教本は「はじめてぴあのをならうこの…

Nefcaque 90秒で眠るために

小さな頃から寝つきが悪いようでした。 どうしたら、そんな風に30秒で眠れるのか奥様にきいてみたところ、「楽しいことを考えている」とのこと。 自分も楽しいことを考えてみるのですが、そうするといろんな事をやりたくなり、むくっと起き出し、何か調べた…

豪雨の夜に ~屋根の爆音とギターの爆音と

自宅の屋根は何の変哲も無い、ごく単純な寄棟です。 それでも設計には、大変なエネルギーを注ぎました。 構造と意匠、それから機能と雨仕舞。 日本は雨の国、そして日本建築は屋根の建築だと思っているので、設計の労力の半分は屋根の納まりのために費やしま…

幸せの音

ここに越してきた頃、高校生だったお向かいのお姉さん。 いつのまにか結婚して里帰り出産をされたようです。 時の流れが急加速しております。 気をつけなくてはなりません。 開いた窓から風に乗って可愛らしい声が聞こえてきます。 元気いっぱい泣く赤ちゃん…

ルーペでお花見【地味注意】

なんだかんだと理屈をつけて、もじゃもじゃの庭(ナチュラルガーデンとも言います 笑)に「あえて」している風な雰囲気を出していますが、本当は花の咲き乱れる庭に憧れていたりします。 イギリスのファンタジー「トムは真夜中の庭で」(なんて美しいラスト…

今年受験のようです

学校から「第1回進路説明会」というおしらせがきました。 合格祈願に太宰府天満宮まで行ってきて「ようです」もなにも無いのですが(笑)、娘(万年反抗期)は普段そういう雰囲気を出してこないので、つい置かれた状況を忘れてしまいます。 まだ小4くらいか…

地球の上に生きる 

アリシア・ベイ=ローレルさんの「地球の上に生きる」は、ずっと大切にしている本です。 まえがきの一部をご紹介します。 工場で生産される消費物質になるべく頼らないようにすれば、わたしたちは静かな暮らしができるはずです。体には活力がみなぎってくる…

だんだん森になっていく

元々は森の中に住むつもりでした。 八ヶ岳山麓、標高900メートルの森の中。 いろいろあって土地を手放し、静岡の平地に住むことに。 今度は海抜7メートルです!。 高原をわたるあの風は吹きません・・・。 静岡の今の敷地では、ちょっと品のある雑木の庭をつ…

ぴあの どりーむ

GW後半(と言っても年中GWなのですが・・・)は、玄関に置いてある避難用リュックや水の備蓄など確認したほかは、ひたすらピアノの練習をしていました。 私は今まで、ピアノの練習というものをしたことがありませんので、ゼロからのスタートです。 テキスト…

炭焼きレストラン「さわやか」と帰ってきた座敷わらし

先日、地元の超優良炭焼きレストラン「さわやか」に行ってきました。 歩いて行ける距離に「さわやか」がある幸せ!。 静岡県内限定とはいえ大きなチェーン店なのに、地元の人に愛される小さなお店のような温かさがあります。 画像は公式ホームページからお借…

「おかあさんといっしょ」のおかあさんの話

歯を磨いている時などに、忘れていた記憶が突然浮かんでくることが多くなりました。 走馬灯でしょうか。 要注意ですね(笑)。 先日は名曲「どんな色がすき」のメロディーとともに、「おかあさんといっしょ」関連の記憶が雪崩をうって、蘇ってきました。 相…

UNBUILTの建築 未完の夢幻

建築に興味をお持ちの方であれば、どこかでUNBUILT(アンビルト)という言葉を耳にされたことがあるかもしれません。 設計・構想されたものの、未だ建てられていない、建てられなかった建築。 古今東西、多くのUNBUILTの建築が図面やパース、模型などとして…

「のど自慢」 全国の凄腕バンドに花束を

「のど自慢」が今年度から生バンドをやめ、カラオケになったそうですね。 20代の短い間でしたが、「のど自慢」の仕事をたくさんさせていただきました。 出場者の募集から、予選会、当日まで、あらゆる現場を経験しました。 「のど自慢」の魅力の一つは、もち…

小声主義 「琥珀のまたたき」小川洋子

小さな頃から喉が弱く、あまり大きな声が出せないようでした。 喧噪の中では声が通りにくく、難儀します。 居酒屋のようなざわついた場所での会話は苦手で、可能であれば個室に移りたくなりますし、大人数の立食パーティーのようなところでも会話が成立せず…