人と栖と

小声で語る 小さな家と本と音楽のこと

2023-01-01から1年間の記事一覧

光のオルガン  宮沢賢治「告別」

うっかり醜悪な茶番をみてしまいました。 記者会見とされてはいましたが、 確かにそれは茶番劇でした。 楽しいこと、美しいもの、 音楽とかエンターテインメントってなんだっけ・・・。 すっかり具合が悪くなってしまいました。 これが嫌でテレビを捨てたの…

気があること まだ知られたくない  平 兼盛

百人一首関連の逸話でよく紹介されるものに、 天徳4年(960年)、村上天皇の内裏歌合(だいりうたあわせ)のエピソードがあります。 平 兼盛(たいらのかねもり)の「忍ぶれど・・・」 壬生忠見(みぶのただみ)の「恋すてふ・・・」 この2首が競ったとき…

トレジャー・ヴォイス  松本伊代さんのセンチメンタル・ジャーニー

先日、近くで松本伊代さん、早見優さん、森口博子さんのコンサートがあったので行ってきました。 いかにも「ふらっと寄ってみた」みたいに書いてますが、チケット発売日の発売時刻に時報を聞きながらenterキーを叩いて予約しました(笑)。 知り合いに見つか…

いただきものの収支を忘れるとき

故郷に戻ってきて十数年、この家を建ててからも8年。 それまでずっと都会暮らしをしていたので、 生まれ故郷とはいっても田舎ならではのものに馴染むのに時間を要しました。 お祭りや回覧板や個人情報のまわるスピードや・・・。 なかでもずっと手こずってい…

標高900mの並行世界 小さな家の由来記8

2023年9月19日 土地探しの中で、希望や条件に合い一旦購入を決意したものの、事情があって話が流れてしまうことってありますよね。 そんな土地を、ずいぶん経ってからこっそり見に行った経験はありますでしょうか。 何故かわからないのですが、私は時々そう…

色・サクラブレンド 光のどけき春の日に

ようやく朝晩の風に秋の気配を感じるようになってきた今日この頃。 春のうた、桜のうたの話題は季節外れも甚だしいのですが、紀友則の桜の名歌に音をつけてみました。 考えてみたら、今年の春、百人一首のなかの春のうたにあわせて曲を作る作業を集中的にや…

ふりゆくものは わが身  帰り道のうた

夏の疲れや何かでぼんやりしており、図面も描かずに、いつも読んでいる百人一首の本を眺めたりしていました。 百首のうたは大きく、「月のうた」や「春夏秋冬のうた」、「恋のうた」などと分類できますが、「花のうた」もいくつかありますね。 夏から秋に向…

子どもを大切にする世界

一年前、9月最初の月曜日、近くの幼稚園のバスで胸がつぶれるような事件が起きました。 小さな子どもを守れないような社会に何の価値があるでしょうか。 その日、その時間帯、私は何も知らず、家で扇風機にあたりながらアイスコーヒーか何か飲んでいました。…

風立ちぬ /美しい村 憧憬   小さな家の由来記7

家を建てるための土地探しの旅。 文学作品の舞台になった憧れの地をいくつかまわりました。 そんなエリアの一つ、浅間山山麓、八ヶ岳山麓は随分たくさんの土地を見させてもらいました。 これだと思う理想の土地にも出会いました。 敷地の左右と奥は林の状態…

たまには断っていこう

娘の学校に(役職が)偉い人が来るらしく、その対策会議があったそうです。 「対策」と言ったら語弊がありますね。 校長、教頭、主幹などが集まって「対応」を協議したようです。 娘によると「堅苦しいかと思ってたら、結構面白かったよ~」とのこと。 って…

月のうた

未だに月の運行システムを理解しておりません。 のんきにお月見などしていますが、昨夜あっちにあったのに、今夜はこっち!などと、その都度驚いています。 奥様も同様のようです。 一度理科の教科書を読めば済む話なのですが(笑)、ここは月の神秘として、…

月前の恋

「今はもう秋」ということにさせていただきました。 月を愛でたりなどしています。 気づけば虫の声。 ラウドな蝉丸たちも輪廻の輪に帰っていきました。 もう秋なので、「月のうたのうた」をつくろうと思いました。 西行法師の「嘆けとて」。 特に季節は示さ…

巣をつくりたいハチ 小さな家の由来記 6

ひと頃、集中的にまわっていたある有名避暑地。 今はどうなのかわかりませんが、当時はイメージしていたよりも手頃な価格の土地がたくさんありました。 今、私たちが住んでいる静岡のいなか町よりも、はるかに低い坪単価でした。 その避暑地の中心部はもちろ…

高校球児が息子になっていました

私は学生時代を仙台で過ごし、初任地は秋田。 奥様は秋田出身。 東北の人の私達にとって、今年の夏の甲子園は心躍るものがありました。 昨夏、優勝旗が白河の関を越えた途端、東北は重量級の強豪校を送り込んでくるエリアになっていました。 仙台育英、敗れ…

ただ夕焼けがきれいだったから

夕方、娘が書道の教室から息せき切って帰ってきました。 「夕焼けがきれいだったから、教えたくて走ってきた。」とのこと。 特に何の根拠もないのですが ああ、もう、これで大丈夫だ そのように感じました。 同時に、幾番目かの子育てのステージが終わったこ…

避暑地と赤いベンツ 小さな家の由来記 5

2023年8月19日 土地探しの旅のなかで、海辺のまちにも足を運びましたが、どちらかというと山派のようで、標高の高い所もたくさん見てまわりました。 私達夫婦は2人とも海辺の生まれ育ちなのに不思議です。 異世界への憧れでしょうか。 昔書いていた文章です…

逢えたら長生きしたくなった  藤原義孝先輩の純情

いきなりで何ですが、私どうしても 「親子丼」という名称を受け入れることができないんです。 料理の名前なんかなんでも良いだろ、というのも確かにそうかもしれません。 でも、いくら何でもひどすぎませんか。 そうでもないですか。 いずれにしても、こんな…

宮沢賢治の世界で暮らしたい 小さな家の由来記 4

10代の頃から宮沢賢治の作品に親しんできました。 本だけでなく新潮社の朗読カセットをテープがヨレヨレになるまで聴いたり、アニメ映画の「銀河鉄道の夜」のビデオを50回くらい観たりして・・・。 動物や森の樹々と会話のできる世界がファンタジーとは思え…

「どう生きるか」と言われたけれど

先日、珍しく家族3人でシネコンに行きました。 私は映画や何かを、人と一緒に観るのが苦手です。 みんなでドラマや映画、特にCMを黙って見ている光景に底知れぬ恐怖を覚えてしまうのです。 ガヤガヤとツッコミを入れながらだったらいいんですけど。 集団視聴…

月と六ペンスと建築 小さな家の由来記 3

折り返し地点を過ぎると、「残り時間」というものを否応なく意識してしまうものですが、若い時分は時間が無限にあるように感じたのと、生来のんびりしているのもあって、随分と遠回りなことを平気でしてきました。 福島県三春町に家を建てる計画は、退職のタ…

三つの春を探して 小さな家の由来記 2

土地探しの長い旅を本格的に始めたのは2005年頃でしたが、90年代後半の、まだ独身時代に一度土地探しと家づくりを考えたことがあります。 想いを寄せた場所は福島県三春町でした。 旅路のスタート地点はあそこだったかもしれません。 その豊かな自然環境をい…

手付流しと倍返し 小さな家の由来記 1.1

先日なにげなく「手付(てつけ)」のことを書いたのですが、不動産の売買にそれほど馴染みのない方もいらっしゃるかもしれないと思い、慌てて「手付」について簡単にまとめてみました。 「申し込み金」と雰囲気が似ているので、ちょっと混乱しがちですよね。…

土星にやさしく

8月は少し苦手です。 黄色いあいつがやってくるから。 暑さのせいもあるけれど、正しさと感動のスコールのようなものにあてられて、いつも少し体調を崩してしまいます。 己の不埒を思い知らされるんですよね。 日頃の行いに自信が持てなくなるというか。 ザ…

運命の出会いはあるのか  小さな家の由来記 1

2023年8月6日 「ビビビ婚」(古っ!)のようなものが、土地との出会いにもあるのかな。 時々考えます。 住宅本をたくさん読んでいると、そういった感じのストーリーに馴染んできますね。 本に限らず作品として世に出すのなら、多少のトリートメントは施すだ…

小さな家の由来記 0

建築ブログだったのでした。 建築、主に住宅建築について何か参考になるようなことでも書いて、少しでも人様のお役に立ちたいなどと殊勝なことを考えブログを開設したのですが、ただただ人様のブログを読んで「自分の役にたっている」というのが、実際の有様…

鈍っちまった悲しみに

(お金をとる)放送局最強のキラーコンテンツは、「夏休み子ども科学電話相談」ですね。 www.nhk.jp 編成が変わって、今は毎週日曜日にも放送されていますが、夏休み版の方が質問のキレが良い気がします。 何故でしょうか。 夏の解放感からくるものなのでは…

うなぎが降る

子どもの頃は、よくうなぎが空から降ってきました。 うなぎの養殖池(養鰻池)からカラスがそれを盗み、盗んだはいいものの、ヌルヌルしているし、クネクネ動くし、それでポトリと落とすのです。 当たり前のように、そこかしこに落ちていました。 一面に養鰻…

子どもから「子ども時代」を奪うということは

英語の勉強も兼ねて繰り返し視ている映像があります。 1993年、グラミー賞授賞式でのマイケル・ジャクソンのスピーチです。 (どなたかが字幕をつけてくれたものがありました。) www.youtube.com そしてこのスピーチは、私にとってもう一つの「子どもの権利…

ちはやぶる 燃ゆるおもひ

百人一首 17番歌 ちはやぶる 神代も聞かず 龍田川 からくれなゐに 水くくるとは 在原業平朝臣 古今集 【現代語訳】 不思議な神々の時代でも 聞いたことがないですよ 龍田川の水を 紅く括り染めにしてしまうなんて 清和天皇の皇后高子(たかいこ)の描いた、…

自然に感じ入る日々

静岡の海沿いのまちに家を建てました。 いつも頭の片隅にうっすらと津波のことがあります。 車のお腹がすぐに錆びてきます。 それでも、海の力は偉大です。 昔、理科や、建築の環境の授業で習った「海風と陸風」をきちんと吹かせてくれます。 昼は海から陸に…